従業員30名ほどの加工業。社長は数年前から次の柱を探していましたが、決め手がないまま止まっていました。そこへ金融機関の紹介で補助金の説明会。採択率が高く、補助上限も大きい。省力化投資補助金は最大8,000万円、大幅な賃上げを行う場合は最大1億円という規模です(採択率の解説記事)。
社長は動き出します。ただし始まったのは「自社が何をやるか」ではなく、「この制度で何が買えるか」でした。支援事業者と申請書を作り、加点が取れる形に計画を整え、無事に採択。ここまでは順調です。問題は、事業の主語がいつのまにか会社ではなく設備になっていたことでした。
一つ目は資金。補助金は原則あと払いで、設備代はいったん全額を自社が立て替えます。採択の高揚で見落とされがちですが、入金までの数ヶ月を運転資金で支える必要がある。金利が1.00%まで上がった今、この立て替え期間はそのままコストです。
二つ目は需要。補助対象になる設備を軸に計画を書いたため、売り先の検証が後回しになっていた。動き出した設備の稼働率が上がらず、償却だけが進む。制度は買う理由を与えてくれますが、売れる理由は与えてくれません。
三つ目は要件。近年の補助金は賃上げが要件や加点に強く組み込まれ、省力化投資補助金では第5回公募から賃上げ要件がさらに厳格化される見込みとされています(制度解説)。計画が想定どおり回らなくても、約束した賃上げと報告義務は数年残る。追い風のつもりで受けたものが、事業が失速した瞬間に足かせへ変わりました。
誤解のないように書きますが、補助金は使うべきです。BEYONDでも活用しています。問題は制度そのものではなく順番。事業が先、制度が後。この順番を守るために、私たちが申請前に必ず通す三つの関門を挙げます。
順番は、①制度抜きでやるかを答え、②自己負担と入金時期で見て、③要件を縛りとして数年ぶん書く。採択率が高い制度が並ぶ局面ほど、事業の主語を握り続けるのが難しくなります。通りやすさは追い風であって、事業の理由にはなりません。
自社のアセットと市場の交点から、次に育てる種を見つける診断です。制度に寄りかかっていないかもその場で。登録不要・すぐ結果。
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まずは無料の新規事業の種・診断で、いまの構想が制度に寄りかかっていないかを確かめるところから。結果を見ながら、申請する前の骨組みを一緒に作りましょう。