従業員18名の内装工事会社。若手の社員が発信を担当し、現場の写真を週に二本投稿していました。
反応は良く、採用の問い合わせも増えていました。社長も評価していました。
問題が起きたのは、ある店舗の改装が終わった日の投稿でした。店名を入れ、完成写真を数枚上げた。開店の二週間前でした。
翌日、その取引先から電話が来ました。『開店前に内装を公開されると困る』。
この投稿に、契約違反はありませんでした。秘密保持の取り決めもない小さな工事でした。
それでも相手には事情がありました。開店前に内装を見せたくない。これは発信した側に想像しろと言っても無理な話です。
社長が最初に考えたのは、投稿の事前確認を自分が全部やることでした。ところが数えてみると、週二本で月に八本。全部見るのは続きません。
そして全部見る形にすると、現場は投稿をやめます。許可を取るのが面倒になるからです。せっかく回り始めた発信が止まります。
決めたのは、現場が自分で判断できる線でした。社長の確認を要る場合と要らない場合を分ける。
作ったのは紙一枚、四行です。
現場の写真には、意図していないものが写ります。この会社で後から出てきたのは三つでした。
他社の図面や指示書、作業している人の顔、そして周辺の建物や看板。
対処は難しくありません。撮った後ではなく、撮る前に机を片付ける。人は後ろ姿か手元だけにする。加工で消すより、写らない状態で撮るほうが早い。
なお、人の写真や施設の撮影と公開、個人情報の扱いには関係法令および個別の契約にもとづく定めがあり、顧問の弁護士への確認が前提です。ここで扱っているのは、その枠の中で現場が迷わない形を作る話です。
四行を配った後も、投稿は週二本のまま続きました。止めなかったことが、この対処のいちばんの成果でした。
変わったのは、現場からの質問が出るようになったことです。『この写真は出していいですか』。線があると、線の近くにあるものだけを聞いてくる。確認の件数は月に一、二件に収まりました。
そして取引先への対応も変わりました。工事の打ち合わせのときに『完成後に発信してよいか』を聞くようにした。先に聞けば断られても角が立たず、許可が出れば名前を出せます。
私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を自分たちで回している当事者です。発信で相手に迷惑をかけた経験もあります。
分かったのは、事前確認を増やすと発信が死ぬということです。確認を厳しくした会社は、三か月で投稿が止まりました。慎重になったのではなく、面倒になっただけです。
効いたのは、出さないものを決めて、残りは自由にしたことでした。禁止の範囲が狭くて明確なら、現場はその外側で動けます。全部確認より、四行のほうが安全で速い。
もう一つ。この線引きは取引先への説明材料にもなりました。『うちは金額と完成前の内装は出しません』と先に言えると、名前を出す許可が取りやすい。出さないものを決めることが、出せるものを増やします。
いま発信しているなら、今日決めるのは一つで足ります。迷ったときに聞く相手を、名前で一人決める。そこから線は書けます。
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まずは無料の情報発信診断で、いまの発信が誰にどこまで届いているかを確かめてみてください。結果を見ながら、最初の四行を一緒に書きましょう。
※本記事の事例は、中小企業で起こりうる場面を想定して構成したものです。特定の企業の実例ではなく、記載の件数はすべて説明のための仮の数値です。秘密保持契約の範囲、肖像や施設の撮影と公開、個人情報の取扱いについては関係法令および個別の契約にもとづく定めがあり、判断にあたっては顧問の弁護士にご確認ください。
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