従業員27名の卸売業。五年前から使っている受発注のサービスに、月額で払っていました。
届いたメールには、終了日と、他社サービスへの移行を推奨する一文が書かれていました。
社長がやったのは、代替サービスを三つ調べて比較表を作ることでした。機能、月額、導入の期間。
三日で止まった理由は、担当者からの一言でした。過去の注文履歴は、持ち出せるんでしょうか。
調べていなかった。比較していたのは、移行できる前提での機能と値段だけでした。
順番を間違えると何が起きるか。この会社の場合、こうなっていた可能性がありました。
移行先を決め、契約し、導入を始める。そこで過去データの一部が書き出せないと分かる。
書き出せないものが重要なら、移行先の選定が変わります。手で入れ直せる量かどうかで、必要な人手も変わる。
つまり移行先の選定は、持ち出せる範囲が分かって初めて成り立ちます。
この会社は三日で気づいたので、選び直しにはなりませんでした。比較表を一度置いて、確かめる側に回りました。
確かめた後に比較表へ戻ると、見る項目が変わっていました。
追加したのは一つです。そのサービスから、データを書き出せるか。
いま入るサービスも、いつか終わります。五年前の自分たちは、終わることを考えていませんでした。
確かめ方は簡単です。無料の試用期間に、出力を一度やってみる。説明に書いてあるかどうかではなく、実際に出るかどうか。
この一項目を入れたことで、候補の一つが外れました。出力の形式が独自のもので、他で読めませんでした。
半年を六回の締めで割り、こう置きました。
一回目までに、確かめる四つを終える。二回目までに移行先を決めて契約する。三回目の締めの直後に切り替える。
残りの三回を、予備に置きました。切り替えが遅れても、終了日までに三回分の余裕がある。
実際に遅れたのは、取引先への連絡でした。直接画面を見ていた取引先が四社あり、全社の確認に一か月かかりました。
予備を置いていたので間に合いました。予備なしで組んでいたら、終了日と切り替えが重なっていたはずです。
切り替えは四回目の締めの後にずれましたが、終了日の二か月前に完了しました。
社長が後から言ったのは、こうでした。いちばん時間を食ったのは、システムではなく取引先への連絡だった。
システムの移行そのものは、一週間で終わっています。その前の確認と連絡に、五か月かかった。
そして残ったものが一つあります。サービスごとに、何が外に出ているかの一覧。移行のために作った一覧が、そのまま使える形で残りました。
次に何かが終わると言われたときは、この一覧から始められます。連携の先を数える作業が、一度で済む。
私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を自分たちで回している当事者です。終了を告知されたサービスが、何度かありました。
やってしまったのは、移行先を先に決めたことでした。契約した後に、過去の履歴が一部しか出ないと分かりました。
手で入れ直すことになり、二人で三週間かかりました。先に確かめていれば、その三週間は要らなかったか、別のサービスを選んでいたはずです。
もう一つ学んだのは、終了の告知が来る前にできる備えがあることでした。いま使っているサービスから出力が取れるかを、平時に一度試しておく。
これを年に一度やるようにしました。出力を試すだけなので、一サービス十分です。試して出ないものが分かっていれば、告知が来た日の動きが変わります。
いま業務で使っているサービスがあるなら、最初に一つだけやってください。いちばん長く使っているものから、過去データの出力を試す。出たファイルを開いて、項目が欠けていないかを見る。十分で終わります。
GEAR(BEYOND PLAYBOOK)は、乗り換え先を外から推薦するのではありません。BEYOND Holdings 自身がサービスの終了に当たってきた当事者として、出力できる範囲の検証 → 外部連携の棚卸し → 締めの回数で割る日程 → 旧データの保管の決定までを、貴社の業務の形に合わせて一緒に整理します。
まずは無料の業務ムダ診断で、いまどの業務に負荷が溜まっているかを確かめてみてください。結果を見ながら、どのサービスから出力を試すかを一緒に決めましょう。
※本記事の事例は、中小企業で起こりうる場面を想定して構成したものです。特定の企業やサービスの実例ではなく、記載の件数・期間・金額はすべて説明のための仮の数値です。データの保存期間および保存方法については、帳簿書類の保存に関する税法上の定めや、電子的に受け取った取引情報の保存に関する定めがあります。顧客情報を移行先のサービスへ移す場合には個人情報の保護に関する法令上の要件があり、委託先の管理についても定めがあります。保存の要否および方法については顧問税理士および顧問弁護士に必ずご確認ください。