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#業務効率化#数字・見える化
Operation Column · 2026.10.21

探した時間を一週間測ったら、
置き場の話ではなかった(想定事例)

工具が見つからない、という苦情が続いていました。現場の言い分は置き場が悪い。
置き場を見直す案が出たところで、一度止めました。先に一週間、探した時間を書いてもらうことにした。
出てきたのは、置き場の話ではありませんでした。以下は想定事例です。

1.【before】見つからないという苦情が、毎週出ていた

従業員21名の金属加工業。現場は一棟で、工具の棚が二か所、治具は壁際のラックに置いてあります。

苦情は半年前から続いていました。使いたい工具が、置き場にない。探して見つからず、別のもので代用する日もありました。

現場からの要望は置き場の増設でした。棚を増やして、種類ごとに分ける。見積は三十万円ほどでした。

社長が引っかかったのは、二年前にも同じ理由で棚を増やしていたことでした。増やした後も苦情は止まっていません。

2.測る前に置き場を変えると、二回やることになる

置き場を変えるのは、原因が置き場にある場合だけ効きます。確かめずに変えると、変えた後に同じ苦情が出ます。

二年前の増設がそうでした。棚は増えたが、苦情の数は変わらなかった。原因が別のところにあったからです。

そこで測ることにしました。測るものは三つだけに絞りました。何を探したか、どれくらいかかったか、最後にどこで見つかったか。

見つかった場所を書いてもらうのが肝でした。どこにあったかがわかれば、置き場の問題か戻しの問題かが切り分けられます。

3.【turn】一週間、紙一枚に書いてもらった

工具棚の横にクリップボードを下げ、三列の紙を貼りました。記入は一行、十秒で済む形にしました。

一週間で集まったのは47行でした。合計の時間は、おおよそ4時間ほど。一人あたりで見れば一週間に十数分です。

社長の最初の感想は、思ったより少ないというものでした。ところが見つかった場所の列を集計すると、別のことが見えました。

47行のうち、置き場になかったものが38行。そのうち別の作業台の上にあったものが25行でした。

つまり棚が足りないのではなく、使った後に戻っていなかった。棚を増やしても、戻らなければ同じことが起きます。

4.戻らない理由は、だらしなさではなかった

戻っていない25行を、使った人に聞いていきました。出てきた理由は三つでした。

一つめ、後でまた使うから手元に置いた。その日のうちに使う予定があり、往復が無駄に感じられた。これは合理的な判断です。

二つめ、どこに戻すかが分からなかった。似た工具が並んでいて、元の位置が特定できない。戻す場所を探す時間がかかるなら、置いたままになります。

三つめ、戻しに行く途中で別の仕事が入った。手に持ったまま呼ばれて、そのまま近くに置いた。

戻らない理由は、どれも意志の問題ではない。意志で直そうとすると、三か月で元に戻る。

三つのうち、注意で直るものは一つもありません。直すなら、戻る形を作るほうが確実です。

5.決めた、四つのこと

①戻す場所が、見ただけで分かる形にする
棚板に工具の形を描くか、色のテープで区画を切ります。元の位置を思い出す必要がなくなると、戻す動作が数秒で終わります。この会社はよく使う十二点だけに印を付けました。全部やろうとすると終わらないので、測った紙に出てきたものだけにする。出てこなかった工具は、そもそも探されていません。ポイント:測って出てきたものだけ、形を描く
②その日のうちに使うものは、持ち出しを認める
戻せと言わずに、持ち出し中の置き場を作ります。作業台の端に一区画を決めて、その日使うものはそこに置く。帰る前にそこだけを棚に戻す。禁止するより、認めて場所を決めるほうが守られます。一日の終わりに一か所を見るだけなので、確認も簡単です。ポイント:禁止せず、持ち出し中の置き場を作る
③治具は、工具と同じ原則にしない
工具は使う人が変わるので一か所に集めます。治具は使う工程が決まっているので、その工程の近くに置くほうが速い。一か所に集めると、工程ごとに取りに行く時間が増えます。共用するものは集め、専用のものは使う場所に置く。この切り分けを、工具と治具で別に決めました。ポイント:共用は集め、専用は使う場所に置く
④紙は続けず、月に一度だけ同じ一週間を測る
記録を常時続けると、書くこと自体が負担になり精度が落ちます。やめて、月に一度だけ同じ一週間の形で測る。比べられる形で残るので、打ち手が効いたかが分かります。減っていなければ、原因の見立てが外れていたということ。測り方を変えずに続けるのが大事です。ポイント:常時記録をやめて、同じ形で月に一度測る

6.【after】三か月後に減ったのは、時間ではなかった

三か月後、同じ一週間で測った結果は31行。47行から減りましたが、劇的ではありません。

社長が成果だと言ったのは、別の数字でした。別の作業台の上にあったものが、25行から6行に減っていた。

探す行為そのものは残っています。ただし残ったのは、置き場にないのではなく置き場まで歩く時間でした。これは棚の配置の問題で、次に手を付ける対象がはっきりしました。

そして棚の増設は、やめました。三十万円の見積は、原因が別だったので保留のままです。

代わりに使ったのは、テープと手描きの印だけでした。かかった費用は数千円です。

7.実業の当事者として言えること

私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を自分たちで回している当事者です。工具を使う現場が社内にあります。

何度もやってしまったのは、測る前に設備や棚を買うことでした。苦情が出ている以上、何か買って応えたくなります。買うと動いた感じがする。

ところが買った後に同じ苦情が出ると、次は現場の意識の問題だという話になります。原因を確かめていないので、人のせいにする以外の説明が残らない。

測るようになって変わったのは、現場との会話が原因の話になったことでした。見つかった場所の列があると、だらしないという話にはなりません。戻る途中で呼ばれた、という事実が紙に出ます。

もう一つ。測ると、思っていたほど大きな損失ではないこともわかります。一人あたり週十数分。これを知った上で、数千円で対処するか三十万円かけるかを決められる。

いま現場から置き場の要望が出ているなら、最初に一つだけやってください。一週間だけ、何を探して、どこで見つかったかを書いてもらう。見つかった場所の列が、直す場所を教えてくれます。

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8.GEAR は、測ってから決めるところに一緒に立つ

GEAR(BEYOND PLAYBOOK)は、整理整頓の型を外から持ち込むのではありません。BEYOND Holdings 自身が工具を使う現場を回す当事者として、探した時間の測り方 → 見つかった場所からの原因切り分け → 戻る形の設計 → 月に一度の再測定までを、貴社の現場の形に合わせて一緒に整理します。

まずは無料の業務ムダ診断で、いまどの業務に負荷が溜まっているかを確かめてみてください。結果を見ながら、どこから測るかを一緒に決めましょう。

※本記事の事例は、中小企業で起こりうる場面を想定して構成したものです。特定の企業の実例ではなく、記載の人数・回数・時間・金額はすべて説明のための仮の数値です。工具および作業設備の点検、保管、使用にあたっては労働安全衛生に関する法令上の定めがあり、定期自主検査や有資格者による取扱いが求められる機器もあります。保管方法を変更する際は、所轄の労働基準監督署および専門家にご確認ください。

記事はここまで

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