従業員45名の部品加工会社。本社工場と、五年前に増やした第二工場の二拠点です。
同じ品番を両方で作っています。設備は型番が違うものの、できることは同じ。作業者の経験年数も近い。
それでも不良の内容が違いました。本社では寸法のばらつき、第二工場では外観の傷。率はどちらも似ているのに、出方だけが違う。
社長の判断は自然なものでした。やり方が違うからだ。だからそろえよう。
始めたのは、全工程の手順書づくりでした。本社のやり方を正として書き出し、第二工場に合わせてもらう。
三か月で三割ほど進み、半年で止まりました。理由は三つありました。
一つ目は、量が多すぎたこと。工程は細かく分かれていて、全部書くと膨大になります。
二つ目は、設備が違ったこと。段取りの手順は設備に依存します。本社のやり方をそのまま書いても、第二工場では使えない部分が残りました。
三つ目は、第二工場の側に理由があったこと。違うやり方には、その場の制約に合わせた工夫が入っていました。そろえると、工夫が消えます。
やり直したときの考え方は単純でした。客に出るものだけをそろえる。
絞ったのは三つです。完成品の検査基準、客への納期の回答の仕方、不良が出たときの連絡の手順。
この三つ以外は、拠点ごとに違っていい、と明記しました。
基準をそろえても、判定のずれは残ります。外観の傷をどこまで許すかは、紙では揃いません。
この会社がやったのは、月に一度、検査の担当者を一日入れ替えることです。相手の拠点で判定をして、違いを持ち帰る。
効いたのは判定の精度より、相手の制約が分かることでした。第二工場の外観不良は、照明の条件が原因の一部でした。手順書では出てこない情報です。
半年後、不良の出方の違いは完全には消えませんでした。消えなかったことが成果だと社長は言いました。
変わったのは、違いの理由が説明できるようになったことです。設備と照明の条件が違うから、出方が違う。客に出る分は基準で止まっている。
そして止まっていた手順書づくりも、必要な範囲だけ再開しました。三つの項目に関わる部分だけなので、二か月で終わりました。
私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を自分たちで回している当事者です。拠点や会社をまたいで同じ仕事をする場面が多くあります。
わかったのは、そろえることが目的になると必ず止まるということです。作業量が理由で止まり、再開するときには最初からやり直しになります。
そしてそろえすぎると、現場が考えなくなります。手順で決まっている部分について工夫は起きません。違いを残したほうが、片方で見つかった改善をもう片方に持っていけます。
もう一つ。比べる数字を一つに絞ったのがいちばん効きました。複数の数字で比べると、拠点ごとに有利な数字を出してきます。悪意ではなく、評価されたい気持ちの表れです。一つに絞ると、その数字を一緒に下げる話になります。
いま拠点でやり方が違うなら、最初に一つだけ確かめてください。その違いは、客に届いているか。届いていなければ、そろえなくていい違いです。
GEAR(BEYOND PLAYBOOK)は、標準の型を外から持ち込むのではありません。BEYOND Holdings 自身が実業を回す当事者として、客に届く違いの洗い出し → 結果の基準づくり → 任せる範囲の明記 → 比べる数字の一本化までを、貴社の現場の形に合わせて一緒に整理します。
まずは無料の業務ムダ診断で、いまどの業務に負荷が溜まっているかを確かめてみてください。結果を見ながら、そろえる三つを一緒に選びましょう。
※本記事の事例は、中小企業で起こりうる場面を想定して構成したものです。特定の企業の実例ではなく、記載の人数・件数・比率はすべて説明のための仮の数値です。本文中の手順は一般的な整理であり、成果を保証するものではありません。