月次の資料に、前年同月比と予算比が並んでいる会社は多い。どちらも重要だから、という理由です。
この表で何が起きるか。報告する側が、良いほうの基準で話します。
前年を超えていれば前年比で語る。予算に届かなければ、予算の立て方が厳しかったという話になる。
どちらも嘘ではありません。数字は二つとも正しく、解釈だけが選ばれている。
聞く側も指摘しにくい。もう一方の基準を持ち出すと、揚げ足取りに見えます。
ここが逆になるところです。二つの基準は、別のことを測っています。
前年比は、環境の変化を測る数字です。市場が伸びたのか、縮んだのか。自社の努力とは別の要素が入ります。
予算比は、約束の達成を測る数字です。期首に決めたことに対して、どこまでやったか。
測る対象が違うものを同じ表に並べると、どちらの話をしているのかが毎回曖昧になります。
そして会議の時間が、基準の選択に使われます。打ち手の話に入る前に終わる。
直し方は、増やすことではありません。用途ごとに一つに決めて、表から片方を消すことです。
固定すると決めても、前年比が意味をなさない場面があります。
一つめ、前年に特殊な事情があった。大口の一件、災害、制度の切り替え。前年が異常値なら、比較は無意味です。
二つめ、商品や事業の構成が変わった。主力が入れ替わった後に前年と比べても、別の商売を比べていることになります。
三つめ、立ち上げから二年未満。伸びるのが当然の時期に前年比を見ると、常に好調に見えます。
この三つに当たるときは、前年比を表から外して、別の数字を置きます。件数の絶対値、月ごとの推移、累計の着地見込み。
予算比も万能ではありません。
一つめ、予算が一度も見直されていない。期首に立てた数字が、半年後の現実と離れすぎている。この状態で予算比を見ると、全部が未達になります。
この場合に必要なのは、予算の置き直しです。ただし予算を書き換えると予実管理が成立しないので、見込みの列を別に持つ形にします。
二つめ、予算の根拠が積み上げではない。前年に一律で何パーセントを足しただけの予算。これは約束ではなく願望なので、比較しても判断材料になりません。
どちらも予算の作り方の問題で、比較の基準の問題ではありません。基準を変えても解けません。
私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を自分たちで回している当事者です。業種の違う会社の数字を同じ場で見ています。
やってしまったのは、両方を並べた表を作ったことでした。見る側として親切だと思っていました。
起きたのは、報告の時間が長くなることでした。各社が良いほうの基準で説明し、聞く側がもう一方を確認する。一社あたり十分では終わりません。
片方に固定してからは、一社三分になりました。基準が決まっていると、報告は差と原因だけになります。
もう一つ気づいたのは、固定したほうが報告する側も楽だったことです。どちらで説明すべきか迷う時間がなくなりました。
いちばん抵抗が出たのは、評価を予算比に固定したときでした。前年より伸ばしたのに評価されないという声が出ました。ここは予算の立て方を一緒に見直すことで収まりました。
いま会議が長いと感じているなら、最初に一つだけやってください。次の月次の表から、片方の基準を消してみる。消した側の話が出たら、それが本当に必要な基準です。
LENS(BEYOND PLAYBOOK)は、会議の様式を外から持ち込むのではありません。BEYOND Holdings 自身が業種をまたいで数字を見る当事者として、用途ごとの基準の割り当て → 会議に出す表の絞り込み → 使えない場合の代替指標 → 変更履歴の残し方までを、貴社の商売の形に合わせて一緒に整理します。
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※本記事に記載の金額、割合、件数はすべて説明のための仮の例です。特定の企業の実例ではありません。本文の整理は社内の管理資料および会議運営についてのものであり、決算書上の数値の表示方法や、外部に開示する資料における比較の方法については関係法令および会計基準にもとづく定めがあります。開示資料の作成については顧問税理士および会計事務所にご確認ください。
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