単位をそろえろという指示には、どうそろえるかが入っていません。だから現場が決めます。
重さで管理していた品目を、個数に直す。一個あたりの重さを、だいたいで割る。だいたいの数字が、そのまま表に入ります。
時間で見ていた作業を、件数に直す。一件あたりの時間を、記憶で置く。
できあがった表は、単位がそろっています。見た目は整いました。そして中身は、現場の記憶で作られた推計に変わっています。
悪意はありません。そろえろと言われたので、そろえただけです。指示した側は、そろった表を見て数字が良くなったと思います。
ここが逆になっているところです。単位の不統一は、入力の雑さの結果ではありません。
扱っているものが複数の軸を持っているからです。素材は重さで仕入れ、製品は個数で売り、作業は時間で払う。
だから単位をそろえるのは、現場を直す話ではありません。軸をまたぐときの計算を、誰かが決める話です。
そして多くの会社で、この計算を決めた人がいません。表を作る担当者が、毎回その場で決めています。
生産性、原価、歩留まり。軸をまたぐ数字を出した瞬間に、換算が入っています。
一人あたりの生産量を出すなら、分母は人か時間です。分子は個か重さか金額。この組み合わせを選んだ時点で、換算の方針が決まっています。
問題は、その方針が書かれていないことです。書かれていないので、翌月に別の人が表を作ると、別の係数が使われます。
こうして前月と比べられない表が、毎月きれいな形で出てきます。比べられないことに誰も気づかないのは、単位がそろって見えるからです。
なお、入力そのものの精度を上げる話は別の問題です。表記のゆれや入力のタイミングを直しても、換算係数が書かれていなければ、月をまたいだ比較はできません。
ここが抜けると、後で確かめられなくなります。
表に載せるのは換算後の数字でかまいません。ただし換算前の数字を、同じ場所に残しておく。列を一つ増やすだけです。
残しておく理由は二つあります。一つは、係数を変えたときに過去を作り直せること。残していないと、過去の表は永久に古い係数のままです。
もう一つは、現場が自分の数字だと思えること。重さで仕事をしている人に個数の表を見せても、自分の実感と結びつきません。換算前の列があると、自分の数字がどう使われたかが見えます。
実感と結びつかない数字は、間違っていても指摘されません。指摘が来なくなったときが、いちばん危ない状態です。
私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を自分たちで回している当事者です。業種が違う会社の数字を並べて見る場面が多くあります。
並べようとして最初に当たるのが、これでした。同じ生産性という言葉で、分母が全部違っていた。人数の会社、時間の会社、台数の会社。
やってしまった失敗もあります。比べたいから分母をそろえようとして、各社に時間での管理を頼みました。結果、半年分の数字が推計になりました。
戻したときにやったのは、そろえるのをやめることでした。各社は自分の単位のまま出す。並べるときだけ、こちらで係数を当てる。係数は書いて、変えた日を残す。
これで何が変わったか。各社の数字が、各社の実感と合ったままになりました。そして比べた結果がおかしいとき、係数を疑えるようになりました。それまでは現場を疑っていました。
いま表の単位が気になっているなら、最初に一つだけ確かめてください。いま使っている換算の数字は、どこに書いてありますか。どこにもないなら、そろえる前にそれを書くほうが先です。
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※本記事に記載の数量、単位、係数および人数はすべて説明のための仮の例です。特定の企業の実例ではありません。生産性や原価に関する指標の算定方法は業種および管理目的によって異なり、本文中の整理は社内の管理資料を想定した簡便な考え方です。決算書上の数値や外部に提出する資料の作成にあたっては関係法令および会計基準にもとづく定めがあり、顧問税理士および会計事務所に必ずご確認ください。
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