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#数字・見える化#意思決定
Management Column · 2026.10.23

千円単位の表で、
粗利が18万円消えていた(想定事例)

同じ月の粗利を出した表が二つあり、合計が18万円ずれていました。
入力を疑い、計算式を疑い、両方とも正しかった。
原因は丸める段階の違いでした。以下は想定事例です。

1.【before】二つの表の合計が、合わなかった

従業員34名の部品加工業。月次の粗利を、経理と製造部がそれぞれ出していました。

経理の表は、会計の数字から作ります。製造部の表は、生産管理の記録から作ります。経路が違うので、多少のずれは当然という扱いでした。

その月のずれは18万円。月の粗利が1,400万円ほどなので、割合では小さい。ただ前月は3万円、前々月は1万円だったので、その月だけ大きかった。

社長が原因を聞いたところ、どちらの担当も答えられませんでした。経路が違うから、で止まっていた。

2.差の正体は、丸める段階の違い

二つの表を並べて、一品目ずつ突き合わせました。入力されている数量は同じ。単価も同じ。

違っていたのは、表示を千円単位にする段階でした。

経理の表は、品目ごとの金額を出してから千円単位に丸め、それを足していました。製造部の表は、単価を千円単位に丸めてから数量を掛けていた。

単価で丸めてから掛けると、誤差に数量が掛かる。数量が多い品目ほど、差が大きくなる。

その月は、単価の安い部品を大量に出荷していました。一個あたり数百円の丸めが、数万個分に膨らんだ。

前月まで差が小さかったのは、数量の多い品目が少なかったからでした。たまたま小さかっただけで、仕組みは前からずれていた。

3.【turn】どこで丸めるかを、一か所に決めた

やったのは、丸める場所を決めることだけでした。計算式も表の形も変えていません。

決めた内容は紙半分です。四つの決まりを書いて、両方の担当に渡しました。

4.決めた、四つのこと

①丸めるのは、最後の一回だけ
途中で丸めると、その誤差に後の計算が掛かります。単価も小計も丸めず、表に出す直前に一度だけ丸める。この順番にすると、どの経路から作っても同じ数字になります。表計算の表示設定で千円単位にするのと、数値そのものを丸めるのは別です。見た目だけ変えるなら、計算には影響しません。ここを混同している会社が多い。ポイント:計算は丸めず、表示だけ千円単位にする
②単価の丸めと、合計の丸めを分けて書く
単価は小数で持ちます。原価計算で割り算が入ると、必ず端数が出る。単価は小数のまま台帳に置き、丸めるのは金額になった後。単価を見やすくするために丸めた瞬間に、全部の計算が狂います。見やすさは表示側で解決する。台帳の数字と、見せる数字を別に持つ発想です。ポイント:単価は小数で持ち、見やすさは表示で作る
③丸めの方向を、用途ごとに固定する
切り捨て、四捨五入、切り上げ。どれを使うかを用途ごとに決めて書きます。見積は切り上げ、社内の集計は四捨五入のように。方向が決まっていないと、担当ごとに違う方向で丸めます。方向の違いは、段階の違いより発見しにくい。差が小さいので、おかしいと気づかれないまま積み上がります。ポイント:方向を用途ごとに書く。差が小さいほど見つからない
④請求書は、別の決まりとして扱う
社内資料の丸め方と、請求書の税額の端数処理は別のものです。請求書および適格請求書における消費税額の端数処理には関係法令上の定めがあり、方法や対象となる単位の判断は顧問税理士の確認が前提です。社内の決まりを請求書に持ち込まない。紙を二枚に分けて、請求書側は専門家に確認した内容だけを書きます。ポイント:社内の丸めと、請求書の税額処理を混ぜない

5.決めた後に、まだ残った差

四つを決めた翌月、差は18万円から4千円に減りました。ゼロにはなりませんでした。

残った4千円の原因は、別のものでした。計上の時期の違いです。経理は納品日、製造部は出荷日で集計していました。

これは丸めの話ではないので、別の決めごとになります。差を一つ潰すと、次の差が見えるようになる。

そして社長が決めたのは、ゼロを目指さないことでした。差の上限を一万円と決めて、それを超えた月だけ原因を調べる。

この線を引いたことで、毎月の突き合わせが五分で終わるようになりました。完全一致を目指していた間は、誰もやりたがらない作業でした。

6.【after】三か月後に変わったこと

三か月後、二つの表の差は毎月数千円に収まっています。超えた月は一度あり、原因は新しい品目の単価の登録ミスでした。

変わったのは、数字の話をするときの前提でした。それまでは、どちらの表が正しいかという話から始まっていました。

いまはどちらも正しいという前提で、差の原因だけを見る。担当を疑う会話が消えました。

もう一つ。製造部が自分の表を信じるようになりました。経理の数字と合うことが確認できたので、自分たちの表で判断していいと分かった。

なお、集計の単位がそろっていない問題は、これとは別の話です。個と重さと時間が混ざっている表は、丸め方を決める前に換算の話が要ります。この会社は単位が金額でそろっていたので、丸めだけで解けました。

7.実業の当事者として言えること

私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を自分たちで回している当事者です。会社をまたいで同じ指標を並べる場面があります。

並べたときに最初に出たのが、これでした。同じ計算をしているはずの数字が、会社ごとに少し違う。桁が大きいので、誰も気にしていませんでした。

調べると、丸める段階が会社ごとに違っていました。悪意でも能力でもなく、誰も決めていなかっただけです。表を作った人がその場で決めて、それが十年続いていました。

効いたのは、表示と計算を分ける考え方を共有したことでした。見やすくしたいという動機で数値を丸めていた人が多く、表示設定で足りると分かると、すぐ直りました。

やって失敗したのは、一度に全部の表を直そうとしたことです。表の数が多く、途中で止まりました。二つの表の差が大きい組み合わせを一つだけ選んで、そこから直すほうが進みました。

いま二つの表の合計が合わないなら、最初に一つだけ確かめてください。それぞれの表が、どの段階で端数を落としているか。段階が違えば、入力をいくら直しても合いません。

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8.LENS は、丸めの決めごとから一緒に立つ

LENS(BEYOND PLAYBOOK)は、集計の様式を外から持ち込むのではありません。BEYOND Holdings 自身が会社をまたいで数字を並べる当事者として、差の大きい表の組み合わせの特定 → 丸める段階の統一 → 方向の明文化 → 許容する差の線引きまでを、貴社の商売の形に合わせて一緒に整理します。

まずは無料の意思決定スピード診断で、いまどこで判断が止まっているかを確かめてみてください。結果を見ながら、どの表から直すかを一緒に決めましょう。

※本記事の事例は、中小企業で起こりうる場面を想定して構成したものです。特定の企業の実例ではなく、記載の金額・件数・単価はすべて説明のための仮の数値です。本文の整理は社内の管理資料における端数の取扱いについてのものです。請求書および適格請求書における消費税額の端数処理の方法、対象となる単位については関係法令上の定めがあり、社内資料の丸め方とは別に考える必要があります。請求書の様式および税額計算の方法については顧問税理士および会計事務所に必ずご確認ください。

記事はここまで

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