← LENSトップへ
#数字・見える化#意思決定#業務効率化
Management Column · 2026.10.06

平均は20時間未満。なのに現場は
減らないと言う ── 残業を原因別に分ける

日本商工会議所と東京商工会議所が2026年5月25日に公表した調査では、正社員1人当たりの月間の平均的な時間外労働が『20時間未満』と答えた企業が81.0%でした(回答1,724社)。
平均で見れば、多くの会社は収まっています。それでも現場は残業が減らないと言う。
食い違う理由は、総時間で見ているからです。総時間は、打ち手を一つも示してくれません。

1.平均は収まっているのに、実感が変わらない

この調査は2026年4月7日から5月18日に行われ、1,724社が答えています。8割の会社が月20時間未満。上限規制の範囲内で対応できている会社が大半、という結果です。

ところが同じ会社の中で聞くと、話が合いません。特定の部署、特定の時期、特定の人のところだけ、何年も減っていない。

平均が低いことと、問題が無いことは別です。平均は、偏りを消すために作られた数字だからです。そして残業は、ほぼ必ず偏ります。

2.総時間では、打ち手が決まらない

偏りを見るために部署別・個人別に割るところまでは、多くの会社がやっています。それでも打ち手が決まらない。『誰が多いか』は分かっても『なぜ多いか』が分からないからです。

結果として出てくる打ち手は、毎回同じになります。残業を減らそう、効率化しよう、早く帰ろう。原因が分かっていないので、呼びかけしか出せません。

総時間は、問題があることだけを教える。何をすればいいかは教えてくれない。

必要なのは、もう一段の分け方です。時間を、原因で分ける。原因が違えば、打ち手は全部違います。

3.原因タグを、四つだけ作る

分類は増やすと使われません。四つに固定します。

①受注の波 ── 仕事の量そのものが多い
受けた仕事が単純に多い残業です。これは現場の工夫では減りません。打ち手は営業側にあり、着手の前倒し、納期の交渉、受注の平準化になります。ここが大半なのに現場に改善を求めている会社が、いちばん多い。ポイント:原因が営業側なら、現場に求めても減らない
②手戻り ── 一度やった仕事をやり直した
指示の不足、確認の遅れ、仕様の行き違い。やり直しに使った時間です。打ち手は着手前の確認の一手間で、効き目がいちばん速い。手戻りが2割を超えていたら、残業対策より先に着手手順を直します。ポイント:やり直しの時間は、前工程の問題
③待ち ── 誰かの返事を待って、夕方に動いた
他部署の回答、客の確認、承認。日中に止まっていた分を、夕方から取り戻した時間です。打ち手は段取りと決裁の線引きで、作業の速さとは無関係。待ちが多い会社は、残業が『勤勉さ』の形で現れます。ポイント:日中の待ちは、夜の残業に変わる
④属人 ── その人しかできない仕事が残っている
本人の能力の問題ではなく、担当が一人に寄っている構造です。打ち手は引き継ぎと手順の書き出しで、効くまでに時間がかかります。いちばん遅く効くので、いちばん早く着手する必要があります。ポイント:効き始めが遅い原因から先に手を付ける

4.一か月だけ、原因を一つ選んでもらう

測り方は重くしません。残業の申請や記録に、四つから一つ選ぶ欄を足すだけです。

要点は三つあります。複数選べないようにする。迷ったら主な理由を一つにする、と決める。混ざると構成比が出ません。

本人が選ぶ。上司が後から分類すると、待ちや手戻りは申告されにくくなります。

そして最初の一か月は評価に使わないと先に宣言する。評価に使うと分かった瞬間、手戻りと属人の数字は消えます。残るのは受注の波だけになり、何も見えません。

5.構成比の読み方

一か月分が集まったら、合計時間ではなく四つの構成比を見ます。読み方は決まっています。

受注の波が半分を超えているなら、現場の改善は打ち止めです。受け方を変えるしかない。

手戻りと待ちで半分を超えているなら、仕事量は問題ではありません。段取りの問題なので、人を増やしても減りません。

属人が一人に集中しているなら、それは残業の問題ではなく事業が止まるリスクです。優先順位が変わります。

どの読み方でも、次に何をするかが一つに決まる。それが総時間では出てこなかったものです。

6.実業の当事者として言えること

私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を自分たちで回している当事者です。この分け方は、自分たちの会社で先にやりました。

意外だったのは、待ちがいちばん多かったことです。感覚では仕事量が多いせいだと思っていた。実際に出てきたのは、日中に返事を待って止まり、夕方から動き直している時間でした。

この結果は、打ち手をまるごと変えました。人を増やす話をしていたのに、やるべきことは返事の締切を決めることだった。『今日中に』をやめて時刻で切る、それだけで動いた部署があります。

もう一つ。分類を入れると、現場の言い方が変わります。『忙しいです』が『手戻りが多いです』になる。これは報告の質が上がったのではなく、言葉が用意されただけです。原因を言う語彙が無いと、人は忙しいとしか言えません。

残業を減らすという目標は、たいてい動きません。先月の残業が、四つのどれで何時間だったかを言えるようにする。測れる形にするところまでが、最初の仕事です。

60秒・無料診断

先月の残業時間を、原因別に言えますか?

数字の粒度・鮮度・共有・判断への接続の4観点から、意思決定が遅れる原因をレーダーで特定します。登録不要・その場で結果。

▶ 意思決定スピード診断をはじめる 無料で相談する

7.LENS は、分け方の設計から一緒に立つ

LENS(BEYOND PLAYBOOK)は、集計の仕組みを入れて終わりではありません。BEYOND Holdings 自身が実業を回す当事者として、原因タグの言葉決め → 記録欄の作り方 → 一か月の試行 → 構成比の読み合わせと打ち手の選択までを、貴社の業務の流れに合わせて一緒に組みます。

まずは無料の意思決定スピード診断で、数字が判断につながっているかを確かめてみてください。結果を見ながら、最初に測る一か月の設計を一緒に決めましょう。

※調査の記述は、日本商工会議所および東京商工会議所が2026年5月25日に公表した『中小企業の働き方改革に関する調査』集計結果(調査期間2026年4月7日〜5月18日、回答1,724社)を参照しています。本文中の分類および日数はいずれも社内の管理用の整理であり、労働基準法にもとづく時間外労働の上限規制、割増賃金の算定、労働時間の把握義務など法令上の取扱いとは別のものです。個別の労務管理の取扱いは、所轄の労働基準監督署および社会保険労務士にご確認ください。

記事はここまで

読んだ今が、いちばん動きやすい

意思決定スピード診断は60秒・登録不要。その場で結果が出ます。相談するかどうかは、結果を見てから決めてください。

▶ 意思決定スピード診断をはじめる LENSとは?
続けて読む
荷待ち時間を報告する制度が始まった年に、自社の納期の内訳を持つ ── 平均ではなくばらつき#数字・見える化 · 2026.10.03 【実例】一台ごとの原価が、見えていなかった ── 受注でつくる製造の会社が『図面から原価まで一本道』にした話#数字・見える化 · 2026.09.25 予算の欄を書き換えた時点で、予実管理は終わっている ── 見込みは三列目に置く#数字・見える化 · 2026.09.24