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#数字・見える化#意思決定
Management Column · 2026.10.31

悪い月だけ原因を聞く会社は、
良い月を再現できない

月次会議で、予算に届かなかった月は原因を追います。差異を分けて、担当に説明を求める。
ところが予算を大きく超えた月は、喜んで終わります。
調べていないのは、良い月のほうです。

1.良い月の会議で、何が起きているか

数字が良い月の報告は短い。社長が労い、担当が恐縮し、次の議題に移ります。

この進め方は自然です。悪い月に原因を問うのは、改善のためだという了解があります。良い月に問うと、疑っているように聞こえる。

結果として、良い月の記録には数字だけが残ります。なぜ良かったかは、どこにも書かれていません。

半年後に同じことをやろうとしても、何をやったのか分からない。再現できないのは、記録していないからです。

そしてもう一つ起きます。良い月の数字が、実力として扱われます。

2.一過性を実力と誤認すると、固定費が増える

ここが逆になるところです。良い月を調べないことの損は、再現できないことだけではありません。

良い月が続くと、社長は判断を動かします。人を採る、設備を入れる、家賃の高い場所に移る。

良い月を調べないまま増やした固定費は、翌年の毎月に効く。一過性だった月が、恒久的な費用を作る。

良い月の中身が一過性なら、増えた固定費だけが残ります。大口の一件、競合の一時的な撤退、季節の偏り。

逆に再現できる要因なら、増やす判断は正しい。どちらなのかは、調べなければ分かりません。

つまり良い月を調べる目的は、反省ではありません。増やす判断の材料にするためです。

この説明をすると、良い月に原因を問うことへの抵抗が消えます。疑うためではなく、次に投じるために聞く。

3.良い月も、同じ様式で一行残す

①悪い月と同じ四分類で、原因を書く
別の様式を作ると、運用が二つになって続きません。未達の月に使っている分類をそのまま使う。単価が動いたのか、数量が動いたのか、構成が変わったのか、時期がずれたのか。超過も未達も同じ分解で書けます。書くのは一行。『数量。大口一件が前倒しで入った』で足ります。様式を変えないことが、続く条件です。ポイント:様式を変えず、未達と同じ分解を使う
②一過性か再現可能かを、その場で判定する
一行書いた横に、二択の印を付けます。一過性か、再現可能か。判定は書いた本人がやる。迷ったら一過性に寄せる。迷うものを再現可能に入れると、予算が甘くなります。判定は後から変えてよいので、その場で決めることのほうが大事です。印が付いていない行は、半年後に読めません。ポイント:迷ったら一過性に寄せる。後で変えてよい
③一過性だった月を、翌年の予算の根拠に使わない
前年実績から予算を作る会社でここが効きます。一過性の印が付いた月は、その分を除いて翌年の数字を置く。除かないと、達成できない予算が毎年できます。そして未達の原因が『予算が高かったから』になります。印を付けておくだけで、予算づくりの会議が短くなります。除いた金額も書き残します。ポイント:一過性の月は、翌年の予算から除いて置く
④再現可能だったものだけ、手順に落とす
再現可能の印が付いた行を、三か月ごとに見返します。同じ原因が二回以上出ていれば、それは手順にできます。『この時期にこの案内を出す』『この客にこの提案を回す』。一回だけの再現可能は、まだ偶然と区別できません。二回を条件にすると、手順の精度が上がります。落とす先は既存の手順書です。ポイント:同じ原因が二回出たら、手順に落とす

4.良い月の後にやってしまう三つ

調べないまま次の判断に進むと、起きやすいことが三つあります。

一つめ、目標を上げる。良い月を基準に次月の目標を置く。一過性なら未達が確定します。達成できない目標が続くと、目標そのものが機能しなくなります。

二つめ、固定費を増やす。人、設備、場所。増やした費用は毎月出ていきます。一度増やした固定費を戻すのは、増やすより難しい。

三つめ、値下げを許す。余裕があるので、少し安くても受ける判断が通ります。良い月が終わった後も、その単価が残ります。

三つのうち、二つめがいちばん効きます。だから固定費を増やす判断の前に、直近三か月の印を見る形にします。

5.記録の形は、表の一列で足りる

新しい仕組みは要りません。いま使っている月次の表に、一列足すだけです。

列の名前は『原因』。中身は一行と、一過性か再現可能かの印。

書く人は、数字を出している人。社長が書くと、社長の見立てが記録になります。

そして一年たつと、十二行の記録ができます。これを並べると、自社の数字が何で動いているかが見えます。

多くの会社で、この十二行が初めての記録になります。それまでは良い月の理由が、誰の記憶にも残っていませんでした。

6.実業の当事者として言えること

私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を自分たちで回している当事者です。月次の数字を会社をまたいで見ています。

やってしまったのは、良い月に人を採ったことでした。三か月続けて予算を超え、これは実力だと判断しました。

後から分かったのは、三か月の超過が同じ一件の分割納品だったことでした。大口が三回に分かれて入っていた。四か月目から元に戻りました。

採った人は残っているので、いまは別の仕事をしています。ただ採る判断の根拠は、間違っていました。

一列足してからは、この誤認が起きていません。印を見れば、超過が一過性かどうかが分かる。

もう一つ気づいたのは、良い月に原因を聞くと、現場が喜ぶことでした。悪い月だけ聞かれる状態は、現場から見れば責められているのと同じです。

いま月次の表があるなら、最初に一つだけやってください。直近で予算を大きく超えた月の原因を、一行書いてみる。書けないなら、その月はまだ記録されていません。

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7.LENS は、記録する様式から一緒に立つ

LENS(BEYOND PLAYBOOK)は、分析の手法を外から持ち込むのではありません。BEYOND Holdings 自身が会社をまたいで月次を見る当事者として、既存様式への一列追加 → 一過性と再現可能の判定 → 予算づくりでの扱い → 二回出た原因の手順化までを、貴社の商売の形に合わせて一緒に整理します。

まずは無料の意思決定スピード診断で、いまどこで判断が止まっているかを確かめてみてください。結果を見ながら、どの月から書くかを一緒に決めましょう。

※本記事に記載の金額、割合、件数はすべて説明のための仮の例です。特定の企業の実例ではありません。本文の整理は社内の管理資料および会議運営についてのものであり、決算書上の数値の取扱い、収益の計上時期については関係法令および会計基準にもとづく定めがあります。計上に関する判断は顧問税理士および会計事務所にご確認ください。

記事はここまで

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