従業員9名の自動車整備工場。取引の八割が既存客と紹介で、新規はほとんどありません。
社長の悩みは、既存客の高齢化でした。十年前からの付き合いが多く、少しずつ台数が減っている。通りがかりの客が一人も来ないのが前から気になっていました。
看板は出ています。社名が大きく入った、きれいな看板です。設置してから十二年経っていました。
看板の内容は三つでした。社名、電話番号、そして自動車整備の文字が小さく一行。
社名は地名と創業者の姓を組み合わせたもので、見て業種が分かるものではありません。電話番号は、走っている車からは書き取れません。
つまり通る人が看板から得られる情報は、何かの会社があるということだけでした。
社長はここで初めて、自分の看板を車に乗って見ました。読めたのは社名だけ。小さい一行は、過ぎてから気づく大きさでした。
時速40キロで走る車から看板が見える時間は、角度と大きさによりますがおおよそ2秒前後です。
2秒で読める文字数は限られます。しかもその2秒で相手が決めるのは、買うかどうかではありません。自分に関係があるかどうかです。
関係があると思った人だけが、次に『どこから入るのか』を探します。だから看板の役割は二段階になります。関係があると分からせること、入口を示すこと。社名は、そのどちらにも効きません。
看板を直すと、入口の問題が見えてきます。看板で関心を持った人が、入口で引き返すからです。
この会社で見つかったのは三つでした。古い貼り紙が何枚も重なっていた。営業時間が書かれていなかった。初めての人がどこに停めるか分からなかった。
どれも金額をかけずに直せるものです。そして既存客は困っていないので、誰も指摘してくれません。だから自分で、初めて来た人の目で見る必要があります。
三か月後、通りがかりの来店は月に数件になりました。数としては小さい。
変化として大きかったのは、聞かれる内容でした。以前は『ここは何の店ですか』から始まっていたのが、『輸入車の車検もできますか』に変わった。
つまり看板が、入る前のふるい分けをするようになりました。看板で判断がついた人だけが入ってくるので、対応にかかる時間も短くなりました。
私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を自分たちで回している当事者です。店や工場の表側は、何度も直してきました。
共通していたのは、社名を大きくしたくなることです。会社の名前を前に出すのは自然な気持ちで、しかも作る側も社名を大きく置いた案を出してきます。けれど通る人は社名を探していません。
もう一つ。看板は設置してから見に行かないものでした。十年前の内容が、そのまま毎日三千台に見せ続けられる。発信の中でいちばん長く残り、いちばん点検されていない媒体です。
費用の話をすると、看板の作り替えは安くありません。ただ、この会社がやったことの半分は貼り紙の整理と札一枚でした。金額をかける前に、歩く速度と車の速度で一度見る。順番はそこからです。
なお、屋外広告物の表示には自治体の条例による規制があります。大きさや設置場所を変える場合は、所在地の自治体に先に確認してください。
MAGNET(BEYOND PLAYBOOK)は、見た目の案を外から持ち込むのではありません。BEYOND Holdings 自身が実業を回す当事者として、看板の内容の読み直し → 何屋かと誰向けかの言葉決め → 入口の点検 → 金額をかけずに直せる部分の洗い出しまでを、貴社の立地と商売に合わせて一緒に進めます。
まずは無料の差別化診断で、いま自社の輪郭がどれくらい伝わっているかを確かめてみてください。結果を見ながら、看板の一行目に置く言葉を一緒に決めましょう。
※本記事の事例は、中小企業で起こりうる場面を想定して構成したものです。特定の企業の実例ではなく、記載の台数・件数はすべて説明のための仮の数値です。屋外広告物の表示には自治体の条例等による規制があり、看板の設置・変更にあたっては所在地の自治体にご確認ください。