名刺交換の場面を思い出すと、相手は名刺を見ていません。見ているのはこちらの顔です。
名刺に書かれた情報が読まれるのは、机に戻ってから、あるいはもっと後です。
そして多くの名刺は、その場で名刺入れに入り、次に見られるのは何か月も後になります。
そのときに何が起きるか。社名と名前はあるが、何の会社かが分からない。
社名に業種が入っていれば別ですが、入っていない会社は多い。創業者の名字や、理念から取った言葉が社名になっています。
名刺を見直すとき、最初に出てくるのはデザインの話です。紙質、書体、色。
デザインが効くのは、渡した瞬間の印象です。ただし渡した瞬間、相手はこちらの顔を見ています。
三か月後に名刺を手に取った人が考えるのは一つです。この人に連絡する用があるか。
用があるかを判断するには、何屋かが分かる必要があります。分からなければ、名刺はそのまま戻されます。
だから見直す順番は逆です。書く言葉を決めてから、デザインに渡す。
言葉が決まっていない状態でデザインを頼むと、きれいな名刺ができて、三か月後に同じことが起きます。
載せたくなるが、効かないものが三つあります。
一つめ、企業理念。短くしても抽象的になり、三か月後の判断材料になりません。理念は社内と採用で効きますが、名刺では読み飛ばされます。
二つめ、取り扱い品目の羅列。十個並べると、何が主力か分かりません。全部できると書いた名刺は、何も得意でないと読まれます。
三つめ、古い情報。移転前の住所、使っていない電話番号、更新が切れた資格。一つでも古いと、他の情報も疑われます。
実際と異なる表示になる場合には関係法令上の定めがあるので、資格や受賞歴の記載は有効期間を確認してから載せます。
名刺を全部刷り直すのは費用がかかります。順番があります。
裏面だけを先に変える。表面の様式は残して、裏面に一行を入れた版を作る。残っている在庫を使い切ってから、表面も直せばいい。
そして変えるときは、全員分を同時に変えます。社長だけが新しい名刺を持っていると、社員の名刺との違いが相手に見えます。
一行を決めるときは、社員にも見せます。社員が口で言えない一行は、名刺にあっても使われません。
電話で名乗るときに使える長さかどうかが、良い目安になります。
私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を自分たちで回している当事者です。社名から業種が分からない会社を複数抱えています。
やってしまったのは、名刺のデザインを先に直したことでした。紙も書体も良くなりましたが、問い合わせは変わりませんでした。
後から分かったのは、裏面が白紙だったことです。表面に社名と名前と連絡先、裏面は何もない。三か月後に出てきても、何屋かが分かりません。
裏面に一行を入れてから、変わったことが一つありました。名刺交換の場で、その一行について質問されるようになった。
これは予想していませんでした。三か月後のために書いた一行が、渡した瞬間の会話を作っていた。
もう一つ。一行を決める作業に、いちばん時間がかかりました。何屋かを三十字で言うのが難しい。社内で五回書き直しました。
いま名刺を見直すなら、最初に一つだけやってください。自社の名刺を、三か月前に会った人の立場で見る。何屋か分かるなら、直す必要はありません。
MAGNET(BEYOND PLAYBOOK)は、名刺のデザインを外から持ち込むのではありません。BEYOND Holdings 自身が社名から業種が分からない会社を回す当事者として、何屋かの一行づくり → 対象を示す一語の選定 → 載せる一つの決定 → 余白の確保までを、貴社の商売の形に合わせて一緒に整理します。
まずは無料の差別化診断で、いま何で選ばれていないかを確かめてみてください。結果を見ながら、裏面の一行を一緒に決めましょう。
※本記事に記載の件数、期間および例示はすべて説明のための仮のものです。特定の企業の実例ではありません。名刺に記載する資格や認証の名称、受賞歴の表示については、それぞれの制度が定める表示の方法や有効期間に従う必要があります。実際と異なる表示となる場合には関係法令上の定めがあり、記載内容の確認が必要です。個別の判断については顧問弁護士および各制度の所管窓口にご確認ください。