やめたほうがいいと分かっている施策が、半年続いていることがあります。
社長の説明はこうなります。もう少し様子を見たい、途中でやめると現場が混乱する。
どちらも理屈は通っています。ただ同じ口から、別の案件では見切りが大事という言葉が出ます。
違いは一つです。その判断を自分がしたかどうか。自分が決めたものは、やめると自分の誤りになります。
この構造は社員にも見えています。社長が始めたことは終わらない、という前提が共有されていきます。
ここが逆になるところです。撤回するときに、理由を丁寧に組み立てたくなります。
市場が変わった、競合の動きが読めなかった、制度が変わった。どれも事実が含まれているので、嘘ではありません。
聞いた側が知りたいのは、そこではありません。この人は、次に同じことがあったら早く止めるのか。
外部要因だけで説明されると、答えは出ません。環境が変わったなら、次も環境が変わるまで続くことになります。
だから整えるほど、次の判断への信用が減ります。言われた側が、同じことが繰り返されると読むからです。
逆に、読み違えた部分を一つ認めると、話が変わります。何を読み違えたかが分かれば、次に何を見るかも分かります。
撤回の場で言ったことより、その後の振る舞いのほうが見られています。
見られているのは三つです。担いだ人の扱い、同じ失敗の繰り返し、他人の失敗への反応。
担いだ人の扱い。撤回した施策の担当者が、その後どう扱われるか。降格や配置の冷遇があれば、次から誰も新しいことを担がなくなります。
同じ失敗の繰り返し。合図を決めても、次のときに使わなければ意味がありません。使った一回目で、合図は本物になります。
他人の失敗への反応。社長が自分の誤りを認めた後で、社員の失敗を厳しく責めると、認めたことが打ち消されます。自分に適用した基準を、他人にも同じだけ適用する。
なお、方針の変更が従業員の配置や処遇に及ぶ場合には就業規則および労働契約にもとづく定めがあり、取引先との契約を変える場合には契約上の手続が必要です。説明の仕方とは別に、確認が要ります。
間違いだと分かっても、すぐに止められないことがあります。契約が残っている、設備を入れてしまった、人を採った。
この場合に効くのは、止められないという事実を先に言うことです。
『判断としては間違っていたが、契約が来年まで残るので続ける』。間違いの認定と、継続の決定を分けて言う。
分けずに続けると、社員には社長はまだこれが正しいと思っていると伝わります。そこから認識のずれが始まります。
そしていつ止められるかの日付を言う。契約の終了日でいい。日付があると、続いていることが放置には見えません。
私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を自分たちで回している当事者です。始めて止めた取り組みが、いくつもあります。
やってしまったのは、外部要因だけで説明した撤回でした。説明としてはよくできていました。事実も入っていました。
その後に起きたのは、社員が新しい提案を出さなくなったことでした。理由は後で分かりました。うまくいかなかったときに、理由が外に向くと読まれていた。
自分の読み違えを一つ言うようにしてから、提案が戻ってきました。認めたことで信用が減るという想定は、逆でした。
もう一つ効いたのは、合図を決めることでした。三か月で何が起きなければ止めるかを始める前に書く。これを始めてから、撤回そのものが軽い出来事になりました。
いちばん難しかったのは、担いだ人の扱いです。撤回した施策の担当者に、次の仕事をどう渡すか。ここを間違えると、他の社員が全部を見ています。
いま止めたほうがいいと分かっている施策があるなら、最初に一つだけ書いてください。自分が読み違えた点を一行。書けたなら、撤回はもう半分終わっています。
NORTH(BEYOND PLAYBOOK)は、意思決定の型を外から渡すのではありません。BEYOND Holdings 自身が始めて止めてきた当事者として、伝える順番の設計 → 前提の変化と読み違いの切り分け → 残すものの特定 → 次の合図の明文化までを、貴社の商売の形に合わせて一緒に整理します。
まずは無料の経営理念・浸透度診断で、いま言葉がどこまで現場に届いているかを確かめてみてください。結果を見ながら、どの判断から手を付けるかを一緒に決めましょう。
※本記事に記載の人数、金額、期間はすべて説明のための仮の例です。特定の企業の実例ではありません。方針の変更にあたって従業員の労働条件、配置、処遇に影響が及ぶ場合には就業規則および労働契約にもとづく定めがあり、取引先との契約内容を変更する場合には契約上の手続が必要です。個別の対応については社会保険労務士および顧問弁護士にご確認ください。
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