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#経営理念#意思決定
Management Column · 2026.10.17

決めないまま三年が過ぎて、
二人が競い始めた(想定事例)

後継の候補が二人いる。片方は社長の長男、もう片方は二十年勤めた営業部長。
どちらも悪くない。だから決められないまま三年が過ぎました。
この三年で起きていたのは、保留ではありません。決めないことが、二人を競わせていた。以下は想定事例です。

1.【before】どちらも悪くないから、決められなかった

従業員40名の建設資材商社。社長は62歳で、承継を考え始めて三年が経っていました。

候補は二人です。35歳の長男は五年前に入社し、仕入と在庫を見ています。48歳の営業部長は二十年勤め、主要な取引先を押さえています。

社長の迷いは率直なものでした。長男は若く、取引先の信用がまだ薄い。部長は実務で頼れるが、十数年後にまた承継が来る。どちらにも理由があり、決める理由が見つからない。

2.決めないことが、競争を作っていた

三年目に入って、社内の様子が変わりました。

案件の報告が、どちらか一方にだけ上がるようになった。社員がどちらに付くかを選び始めていました。悪意ではなく、将来どちらが上に立つかを読もうとした結果です。

保留しているつもりだった三年は、社内から見れば選抜の期間だった。

そして二人の側にも変化がありました。互いの領域に口を出さなくなった。衝突を避けることが、連携を避けることになっていました。

社長が決めかねている理由は『どちらも悪くないから』でしたが、社内で起きていたのは決まらないことによる分断でした。

3.【turn】決める日を、先に決めた

やったことの順番が肝でした。誰にするかを決める前に、いつ決めるかを決めて宣言した。

宣言したのは、二人と、幹部数名に対してです。『来年の三月に決める。基準はこれ』。決める日が決まると、それまでの期間が競争ではなく準備の期間になります。

4.同じ日に出した、四つ

①決める日を、評価より先に宣言する
日付が無いと、毎日が評価の対象になります。決定の時期を先に言い、それまでは比べないと明言する。日付は一年以内に置くのが要点でした。先に置きすぎると、宣言した日まで宙ぶらりんが続きます。ポイント:日付は一年以内に置く
②選ぶ基準を、二人に先に見せる
後から基準を言うと、結論に合わせて作ったように見えます。決める前に、何で判断するかを紙で渡す。この会社が挙げたのは、取引先との関係、数字の責任を持った経験、十年単位で続けられるかの三つ。基準は三つまでに絞ります。ポイント:基準は後から言うと、理由付けに見える
③選ばれなかった側の役割を、同じ日に出す
ここが最も大事でした。決定と同時に、もう一方の役割・権限・処遇を出す。別の日にすると、その間に本人は辞める準備を始めます。役割は格下げではなく、別の領域の責任者として組む。ポイント:決定と処遇は、同じ日に出す
④社員への伝え方を、二人で決める
社長が一人で発表すると、選ばれなかった側の立場が弱くなります。伝える場に二人で立ち、二人が合意した言葉で伝える。社員が見ているのは決定の中身より、二人の様子です。ここで分断が止まるかが決まりました。ポイント:社員は決定より、二人の様子を見ている

5.選ばれなかった側が辞める場合

役割を用意しても、辞める選択はあり得ます。これは失敗ではありません。

備えとして二つ決めておきます。その人が持っている取引先と業務の引き継ぎ範囲を事前に把握しておくこと。そして辞める場合の時期と条件を、本人と話せる関係のうちに決めておくこと。

決めないまま三年置くことのいちばんの危険は、関係が悪くなってから辞められることです。決めてから辞めるのと、決まらないまま辞めるのでは、引き継ぎの質がまったく違います。

なお、役員の選任や退任にともなう処遇、株式の承継には会社法および税法にもとづく取扱いがあり、顧問の弁護士および税理士への確認が前提です。

6.【after】報告が両方に戻った

決定後、長男が後継となり、営業部長は営業全体の責任者として権限を広げました。

変化として見えたのは、案件の報告が両方に上がるようになったことです。どちらに付くかを読む必要がなくなったからです。

社長の振り返りは一言でした。決めるのが難しかったのではなく、決めないことの害を見ていなかった。

7.実業の当事者として言えること

私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を自分たちで回している当事者です。承継の場面は何度も見てきました。

候補が二人いる会社で共通していたのは、社長が『まだ時間がある』と考えていることでした。本人の感覚では保留ですが、社内では毎日が選抜です。保留は、社長だけが使える言葉でした。

そして効いたのは、決定の中身より順番でした。日付を先に、基準を次に、決定と処遇を同じ日に。この順番を守った会社では、選ばれなかった側が残っています。決定と処遇を別の日にした会社では、ほぼ辞めていました。

もう一つ。二人を競わせて選ぶ、という設計は機能しませんでした。競争は短期の成果に向かうので、長く効く判断が後回しになります。見るべきは成績ではなく、十年単位で会社を持てるかでした。

いま候補が複数いるなら、決めるのは一つで足ります。いつ決めるかを、今月のうちに口に出す。誰にするかは、そのあとで間に合います。

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8.NORTH は、順番の設計から一緒に立つ

NORTH(BEYOND PLAYBOOK)は、承継の手続きを代行するのではありません。BEYOND Holdings 自身が実業を回す当事者として、決める日の設定 → 基準の三つへの絞り込み → 選ばれなかった側の役割づくり → 二人で立つ発表の設計までを、貴社の事情に合わせて一緒に整理します。

まずは無料の経営理念・浸透度診断で、決めたことが社内にどこまで届いているかを確かめてみてください。結果を見ながら、決める日と基準を一緒に置きましょう。

※本記事の事例は、中小企業で起こりうる場面を想定して構成したものです。特定の企業の実例ではなく、記載の年数・人数はすべて説明のための仮の数値です。役員の選任、株式の承継、退任にともなう処遇については会社法および税法にもとづく取扱いがあり、個別の判断は顧問の弁護士および税理士にご確認ください。

記事はここまで

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