人が復帰後に辞めると、会社はたいてい制度を疑います。短時間勤務の枠が足りない、在宅ができない、制度の説明が不足していた。
この調査で最多として挙がっているのは、制度の名前ではありません。お迎えに間に合わない。時刻の話です。
制度があっても、実際の終業時刻が三十分遅れれば間に合いません。逆に制度が簡素でも、その人が何時に出られるかが毎日守られていれば続きます。
なお、この調査は企業規模で分けていないので、中小企業だけの数字ではありません。ただ、人数が少ない会社ほど、一人の終業時刻は周りの段取りで決まります。効き方はむしろ大きいと考えています。
もう一つの数字が重いところです。約9割が正社員での継続を希望している。
つまり多くの場合、意思の問題ではありません。続けたいと思っている人が、続けられない段取りの中にいたということです。
ここが分かると、打ち手の場所が変わります。引き止めの面談でも、制度の整備でもない。段取りを先に決めておくことが打ち手になります。
短時間勤務を用意した会社でも、復帰がうまくいかないことがあります。原因はほぼ一つです。
その人が居ない時間を、誰が埋めるかが決まっていない。
決まっていないと、現場がその場で調整します。調整は毎日発生し、周りに負荷が偏り、やがて空気が悪くなる。本人がいちばん先に気づいて、辞める判断をします。
制度は入口を作る道具です。続くかどうかを決めるのは、埋める側の設計でした。
育児の休みと違い、病気やけがの復帰はいつ戻れるかが読めません。だから同じ設計のままでは合いません。
変えるのは一点で、戻る日を一つに決めないことです。短い時間で始める日、通常の時間に戻す日、元の担当に戻す日を分けて置く。
そして戻る前に、本人と決める相手を一人に固定します。複数から別のことを言われるのが、復帰でいちばん折れる場面でした。
なお、休職の扱いや復職の判断、所定労働時間の変更には関係法令にもとづく定めがあり、社会保険労務士への確認が前提です。ここで扱っているのは、その枠の中で現場の段取りをどう組むかの話です。
私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を自分たちで回している当事者です。復帰の受け入れは何度も経験してきました。
うまくいかなかったときに共通していたのは、本人にだけ配慮していたことです。無理しないでいい、早く帰っていい。言葉は優しいのに、その分の仕事がどこへ行ったかを誰も決めていませんでした。
いま先にやるのは、埋める人との面談です。本人との面談より先に、埋める側と話す。何を引き取るか、代わりに何を手放すか。ここが決まっていると、本人への説明が具体的になります。
もう一つ。この設計は、復帰する人のためだけのものではありませんでした。誰かが急に休んだときに、そのまま使える。一人の復帰のために作った段取りが、組織の予備になる。だから一人目の復帰にかける手間は、回収できる投資だと考えています。
次に戻る人がいるなら、決めるのは一つです。何時に帰るかと、その時間を誰が埋めるか。制度の見直しは、その後で間に合います。
PACK(BEYOND PLAYBOOK)は、制度の文面を外から当てはめるのではありません。BEYOND Holdings 自身が実業を回す当事者として、終業時刻の確定 → 埋める人の名指しと手放す仕事の設定 → 一か月の軽減期間とその終わり → できない日を出す定例の置き方までを、貴社の現場の回り方に合わせて一緒に組みます。
まずは無料の組織体力診断で、いま組織のどこに負荷が溜まっているかを確かめてみてください。結果を見ながら、次の復帰に向けた段取りを一緒に決めましょう。
※調査の記述は、株式会社マイナビが2026年5月15日に公表した『育児離職と仕事と育児の両立の男女差実態調査(2026)』を参照しています。同調査の対象は20代から50代の正社員800名で、企業規模による区分は設けられていません。育児休業・介護休業・休職の取扱い、所定労働時間の変更、社会保険の手続などには関係法令にもとづく定めがあり、個別の対応は社会保険労務士および所轄の労働基準監督署にご確認ください。本文中の手順は一般的な整理であり、成果を保証するものではありません。