気づいた社長が最初にやるのは、たいてい同じです。二人を呼んで、腹を割って話させる。
意図は分かります。誤解が原因なら、話せば解けるはずだという前提です。
ところがこの前提が成り立つのは、原因が誤解のときだけです。多くの場合、原因は誤解ではありません。
仕事の進め方が違う、速さの基準が違う、報告の粒度が違う。どちらも間違っていない状態で起きています。
間違っていない二人を座らせると、どうなるか。それぞれが自分の正しさを説明します。
ここが逆になるところです。場をつくるまで、二人の関係は私的なものでした。
社長が場をつくると、会社が認めた対立になります。記録に残り、周りも知る。
そして社長は、その場で何かを決めなければならなくなります。どちらかが悪いと言うか、両方に非があると言うか。
どちらを言っても、どちらかは納得しません。両方に非があると言えば、両方が納得しません。
さらに悪いのは、会社が当事者になることです。これ以降、二人の間で何か起きるたびに社長が呼ばれます。
ただし例外があります。言動がハラスメントに当たる可能性がある場合は、まったく別の対応になります。事業主には法令にもとづく義務が定められており、接点の設計の話ではありません。ここは最初に見分ける必要があります。
不仲そのものより、周りへの影響のほうが会社には効いています。
見られているのは三つです。どちらに味方するかを迫られるか、仕事が止まるか、社長が放置しているか。
味方を迫られるのがいちばん負担です。片方と話していると、もう片方に見られる。これが続くと、関係のない社員が疲れます。
だから周りには一度だけ言います。どちらにも付かなくていい、仕事の用件はそのまま通してほしい。
仕事が止まるのは、受け渡しが滞るときです。接点の形を変えると、ここは解けます。
放置に見えるのがいちばん危ない。何もしていないように見えると、他の社員が会社に期待しなくなります。接点を変えたことは、周りに伝わる形でやります。
数えて、形を変えて、それでも業務が回らない場合があります。そのときは配置の話になります。
配置を動かすときの基準は一つです。どちらが悪いかで決めない。
決め方は、動かしたときに業務への影響が小さいほう。これは能力や正しさとは関係ありません。そう説明します。
説明を省くと、動かされた側は自分が悪いと判定されたと受け取ります。これは後から訂正できません。
なお、配置の変更や処遇に影響が及ぶ場合には就業規則および労働契約にもとづく定めがあります。業務内容や勤務地の変更が可能な範囲、手続、本人への説明について確認が要ります。
私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を自分たちで回している当事者です。人数の少ない現場をいくつも抱えています。
やってしまったのは、座らせて話させたことでした。その場では収まりました。握手まではしませんが、今後は気をつけるという形で終わりました。
三か月後に起きたのは、片方の退職でした。理由を聞くと、あの場で自分が悪者にされたと感じたと言われました。社長にその意図はありませんでした。
次のときは、座らせずに接点を数えました。週に四回でした。四回のうち三回が、完成品の受け渡しでした。
棚を一つ置いて、置いて記録する形に変えました。それで接点が週一回になり、問題として上がってこなくなりました。
仲は良くなっていません。二年経ちますが、今も良くないと思われます。ただ仕事は回っています。会社として必要なのはそこでした。
いま合わない二人がいるなら、最初に一つだけやってください。一週間、業務上のやり取りが何回あるかを数える。数えると、たいてい思っていたより少ないことが分かります。
PACK(BEYOND PLAYBOOK)は、人間関係の調整術を外から持ち込むのではありません。BEYOND Holdings 自身が人数の少ない現場を回す当事者として、接点の回数の計測 → 受け渡しの形の変更 → 聞く回数の均衡 → 求める行動の明示までを、貴社の現場の形に合わせて一緒に整理します。
まずは無料の組織体力診断で、いま組織のどこに負荷が溜まっているかを確かめてみてください。結果を見ながら、どの接点から変えるかを一緒に決めましょう。
※本記事に記載の人数、回数、期間はすべて説明のための仮の例です。特定の企業の実例ではありません。本記事は業務上の接点の設計についての整理であり、言動が職場におけるハラスメントに当たる可能性がある場合は別の対応が必要です。事業主には労働関係の法令にもとづき相談への対応や措置を講じる義務が定められており、配置の変更や処遇に影響が及ぶ場合にも就業規則および労働契約にもとづく定めがあります。個別の対応については社会保険労務士および顧問弁護士、ならびに所轄の労働基準監督署にご確認ください。