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#新規事業#財務・資金繰り#意思決定
Management Column · 2026.10.28

卸売39.6兆円、小売13.1兆円
── 作らずに扱う側になる

経済産業省の商業動態統計(2026年8月分速報、2026年9月30日公表)で、卸売業の販売額は39兆6,160億円・前年同月比7.5%増。
小売業は13兆520億円・同2.7%増。金額ベースなので価格上昇分を含みますが、扱う商売が細っているわけではありません。
作らずに増やす選択が、一つあります。

1.金額で見ると、扱う商売は細っていない

直販が増えて中間流通は要らなくなる、という話はよく聞きます。

統計の数字は金額ベースなので、価格が上がれば額も増えます。7.5%増のうちどれだけが数量かは、この数字からは分かりません。

ただ経営の側から見ると、金額で見ることにも意味があります。扱う側の取り分は、たいてい金額に対して決まるからです。

仕入れて売る商売の粗利は、掛率で決まります。価格が上がれば、同じ数量でも取り分の金額が増える。

季節調整済の前月比は1.9%減なので、右肩上がりではありません。ただし細っている分野ではない、という前提は置けます。

2.自分で作らずに、商品を増やす

新しい商売を考えるとき、多くの社長が自社で何かを作る方向から入ります。

作る場合に必要なのは、開発の時間、設備、試作、品質を安定させる期間。最短でも一年はかかります。

他社の商品を扱う場合、必要なのは契約と、売る相手です。自社に既に客がいるなら、売る相手は揃っています。

そして扱う判断は、作る判断よりやめやすい。設備を持たないので、撤退の損が小さい。

ただし楽な選択ではありません。決めておかないと損をする条件が、四つあります。

3.条件で先に決める、四つ

①取り分は率ではなく、一件あたりの金額で見る
掛率で示されると、率の高さに目が行きます。見るのは一件あたりいくら残るかです。率が高くても単価が低ければ、動く手間に合いません。一件の商談にかかる時間と、残る金額を並べる。時間あたりで既存の商売を下回るなら、扱う意味がありません。この計算を契約の前にやります。率の交渉より先です。ポイント:率ではなく、一件あたりに残る金額と手間を並べる
②在庫を持つのか、持たないのかを先に決める
ここが資金繰りを左右します。在庫を持つ条件なら、仕入の支払と入金のずれがそのまま必要資金になります。持たずに受注してから発注する形なら、資金は要らないが納期が伸びる。どちらが自社の客に合うかで決めます。最低仕入量の条件がある場合は、それが実質の在庫負担です。初年度の最低量は必ず確認します。ポイント:最低仕入量の条件は、実質の在庫負担として数える
③独占にするかを、期間で区切る
地域や分野の独占は魅力的に見えますが、独占には売る義務が付いてきます。一定量を売れなければ切られる形が多い。独占を取るなら、期間と数量の条件を具体的に確認する。最初は独占なしで始め、実績が出てから交渉するほうが身軽です。なお独占的な取り決めや価格に関する制約には法令上の論点があり、契約前の確認が要ります。ポイント:独占は義務とセット。最初は取らない選択もある
④やめるときの在庫の引き取りを、書いておく
始めるときに誰も話したがらない項目です。終了時に手元の在庫をどうするか。引き取ってもらえるのか、自社で売り切るのか、処分するのか。書いていないと、やめる判断のときに在庫が足かせになります。引き取りの条件があるかどうかで、撤退の自由度が変わる。契約書の終了条項を、始める前に読みます。ポイント:終了条項を読まずに始めると、やめられなくなる

4.扱ってはいけない商品の見分け方

声をかけられる商品のうち、受けないほうがよいものがあります。見分けるのは三つです。

一つめ、既存の客と合わない商品。扱える商品が増えても、売る相手が新規開拓になるなら、作るのと同じ時間がかかります。

二つめ、自社が中身を説明できない商品。客から質問が来たときに、メーカーに確認しないと答えられない。この状態では、客にとって自社を通す理由がありません。

三つめ、同じ商品を扱う会社が近くに複数ある。価格でしか違いが出ないので、利益が残りません。

逆に受けてよいのは、いまの客から聞かれたことがある商品です。聞かれた記録があれば、売る相手は確かめられています。

5.既存の客に合うかを、先に数える

判断の材料はすでに社内にあります。問い合わせの記録と、断った案件の記録です。

直近一年で、自社が扱っていないものを聞かれた件数を数えます。十件を超えているなら、その分野は検討に値します。

数えるときに記録が残っていないことが多い。その場合は、今日から数え始める。三か月で傾向が出ます。

この数え方の利点は、扱う前に需要が確かめられることです。市場調査より確実で、費用もかかりません。

そして聞かれた客の名前が残っていれば、扱い始めた日に声をかける先が決まっています。

6.実業の当事者として言えること

私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を自分たちで回している当事者です。扱う側になった商売も、扱ってもらう側の商売もあります。

扱ってもらう側に立って分かったのは、売れる販売店と売れない販売店の差は、客が合っているかどうかだけだったことでした。熱意ではありません。

扱う側としてやった失敗は、掛率の良さで決めたことでした。率は良かったが、単価が低く、一件あたりの手間が既存の商売と同じでした。

半年で撤退しましたが、在庫が残りました。終了時の引き取り条項がなかった。処分に費用がかかりました。

いまやっているのは、聞かれた件数を数えることです。扱っていないものを聞かれたら、記録に残す。これだけで候補が絞れます。

もう一つ。最初は独占を取らないようにしています。取ると数量の義務が付き、売れない月に無理が出ます。実績が出てから交渉すれば、条件も良くなります。

いま新しい商売を考えているなら、最初に一つだけやってください。直近一年で、自社が扱っていないものを聞かれた件数を数える。記録がなければ、今日から数え始めます。

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7.SEED は、扱う判断の条件づくりから一緒に立つ

SEED(BEYOND PLAYBOOK)は、取扱商品を外から持ち込むのではありません。BEYOND Holdings 自身が扱う側と扱ってもらう側の両方を回す当事者として、聞かれた件数の集計 → 一件あたりの取り分と手間の試算 → 在庫と独占の条件確認 → 終了条項の読み合わせまでを、貴社の商売の形に合わせて一緒に整理します。

まずは無料の新規事業の種・診断で、自社にどんな種があるかを確かめてみてください。結果を見ながら、どの分野から当たるかを一緒に決めましょう。

※統計の記述は、経済産業省『商業動態統計』2026年8月分速報(2026年9月30日公表)について、商業販売額52兆6,680億円・前年同月比6.3%増、卸売業39兆6,160億円・同7.5%増、小売業13兆520億円・同2.7%増、卸売業の季節調整済前月比1.9%減として複数の媒体が一致して伝える数値を参照しています。同月分の確報は2026年10月15日に公表予定とされています。本稿執筆時点で速報資料の原文は参照できていないため、原文での確認を推奨します。販売額は金額ベースの集計であり、価格の上昇分を含みます。数量の増減を示すものではありません。本記事に記載の掛率・金額・件数はすべて説明のための仮の例です。販売店契約や代理店契約の内容、独占的な取り決め、終了時の在庫の取扱い、再販売価格に関する制約については契約上および法令上の定めがあり、独占禁止法上の論点を含みます。契約の締結前に顧問弁護士に必ずご確認ください。

記事はここまで

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