直販が増えて中間流通は要らなくなる、という話はよく聞きます。
統計の数字は金額ベースなので、価格が上がれば額も増えます。7.5%増のうちどれだけが数量かは、この数字からは分かりません。
ただ経営の側から見ると、金額で見ることにも意味があります。扱う側の取り分は、たいてい金額に対して決まるからです。
仕入れて売る商売の粗利は、掛率で決まります。価格が上がれば、同じ数量でも取り分の金額が増える。
季節調整済の前月比は1.9%減なので、右肩上がりではありません。ただし細っている分野ではない、という前提は置けます。
新しい商売を考えるとき、多くの社長が自社で何かを作る方向から入ります。
作る場合に必要なのは、開発の時間、設備、試作、品質を安定させる期間。最短でも一年はかかります。
他社の商品を扱う場合、必要なのは契約と、売る相手です。自社に既に客がいるなら、売る相手は揃っています。
そして扱う判断は、作る判断よりやめやすい。設備を持たないので、撤退の損が小さい。
ただし楽な選択ではありません。決めておかないと損をする条件が、四つあります。
声をかけられる商品のうち、受けないほうがよいものがあります。見分けるのは三つです。
一つめ、既存の客と合わない商品。扱える商品が増えても、売る相手が新規開拓になるなら、作るのと同じ時間がかかります。
二つめ、自社が中身を説明できない商品。客から質問が来たときに、メーカーに確認しないと答えられない。この状態では、客にとって自社を通す理由がありません。
三つめ、同じ商品を扱う会社が近くに複数ある。価格でしか違いが出ないので、利益が残りません。
逆に受けてよいのは、いまの客から聞かれたことがある商品です。聞かれた記録があれば、売る相手は確かめられています。
判断の材料はすでに社内にあります。問い合わせの記録と、断った案件の記録です。
直近一年で、自社が扱っていないものを聞かれた件数を数えます。十件を超えているなら、その分野は検討に値します。
数えるときに記録が残っていないことが多い。その場合は、今日から数え始める。三か月で傾向が出ます。
この数え方の利点は、扱う前に需要が確かめられることです。市場調査より確実で、費用もかかりません。
そして聞かれた客の名前が残っていれば、扱い始めた日に声をかける先が決まっています。
私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を自分たちで回している当事者です。扱う側になった商売も、扱ってもらう側の商売もあります。
扱ってもらう側に立って分かったのは、売れる販売店と売れない販売店の差は、客が合っているかどうかだけだったことでした。熱意ではありません。
扱う側としてやった失敗は、掛率の良さで決めたことでした。率は良かったが、単価が低く、一件あたりの手間が既存の商売と同じでした。
半年で撤退しましたが、在庫が残りました。終了時の引き取り条項がなかった。処分に費用がかかりました。
いまやっているのは、聞かれた件数を数えることです。扱っていないものを聞かれたら、記録に残す。これだけで候補が絞れます。
もう一つ。最初は独占を取らないようにしています。取ると数量の義務が付き、売れない月に無理が出ます。実績が出てから交渉すれば、条件も良くなります。
いま新しい商売を考えているなら、最初に一つだけやってください。直近一年で、自社が扱っていないものを聞かれた件数を数える。記録がなければ、今日から数え始めます。
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▶ 新規事業の種・診断をはじめる 無料で相談するSEED(BEYOND PLAYBOOK)は、取扱商品を外から持ち込むのではありません。BEYOND Holdings 自身が扱う側と扱ってもらう側の両方を回す当事者として、聞かれた件数の集計 → 一件あたりの取り分と手間の試算 → 在庫と独占の条件確認 → 終了条項の読み合わせまでを、貴社の商売の形に合わせて一緒に整理します。
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※統計の記述は、経済産業省『商業動態統計』2026年8月分速報(2026年9月30日公表)について、商業販売額52兆6,680億円・前年同月比6.3%増、卸売業39兆6,160億円・同7.5%増、小売業13兆520億円・同2.7%増、卸売業の季節調整済前月比1.9%減として複数の媒体が一致して伝える数値を参照しています。同月分の確報は2026年10月15日に公表予定とされています。本稿執筆時点で速報資料の原文は参照できていないため、原文での確認を推奨します。販売額は金額ベースの集計であり、価格の上昇分を含みます。数量の増減を示すものではありません。本記事に記載の掛率・金額・件数はすべて説明のための仮の例です。販売店契約や代理店契約の内容、独占的な取り決め、終了時の在庫の取扱い、再販売価格に関する制約については契約上および法令上の定めがあり、独占禁止法上の論点を含みます。契約の締結前に顧問弁護士に必ずご確認ください。
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