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#新規事業#意思決定
Management Column · 2026.10.25

二拠点目を出す前に、
一つ目の理由を数えた(想定事例)

一つ目の拠点が三年で黒字になり、二つ目の物件を探し始めました。
社長が社内に聞いたのは一つです。一つ目は、なぜうまくいったのか。
答えが揃いませんでした。以下は想定事例です。

1.【before】物件を探し始めてから、手が止まった

従業員23名のサービス業。本社の隣町に出した一つ目の拠点が、三年目で黒字になりました。

社長は次を考え始めました。同じことをもう一度やれば、売上は増える。物件の候補も二つ出ていました。

契約の前に、念のため社内で聞きました。一つ目がうまくいった理由は何だと思うか。

返ってきた答えは四通りでした。立地がよかった、店長の人柄、本社から近くて応援に入れた、始めた時期に競合がいなかった。

四人が四つの違う理由を言った。社長は物件の話を一度止めました。

2.理由が揃わないと、何を複製するか決まらない

二つ目を出すのは、一つ目を複製する行為です。複製するには、何が効いているかが分かっている必要があります。

効いているのが立地なら、同じ条件の立地を探します。効いているのが人なら、立地を探しても意味がありません。

社内の答えが割れているのは、誰も確かめていないからです。うまくいっているので、確かめる必要がなかった。

うまくいっている理由は、聞かれなければ誰も確かめない。複製しようとした瞬間に、必要になる。

ここで多い間違いが、社長が自分の見立てを答えとして採用することです。社長の見立ては立地でした。物件を探していたからです。

探している最中の人は、探しているものが理由だと考えます。これは避けられない偏りです。

3.【turn】理由を四つに分けて、点を付けた

社長がやったのは、四つの理由に点を付けることでした。やり方は単純です。

社員五人と社長の六人に、四つの理由に合計十点を配ってもらう。立地に四点、人に三点、といった形です。

集計すると、こうなりました。人が26点、立地が18点、本社からの距離が12点、時期が4点。

社長の配点は立地が最多でしたが、全体では人でした。現場に近い人ほど、人に点を置いていました。

4.要因ごとに、移せるかを判定した

①人が効いているなら、二人目がいるかを数える
いちばん点が高かったのが人でした。この場合、二つ目を出すのに必要なのは物件ではなく人です。店長と同じことができる人が社内にいるか。いないなら、育てる期間が先に必要になります。外から採る案もありますが、一つ目が人で成り立っているなら、同じ人は採用では揃いません。ここを飛ばすと、二つ目は別の商売になります。ポイント:人が理由なら、必要なのは物件ではなく二人目
②立地が効いているなら、条件を数字で書き出す
よかったという感覚では探せません。前面道路の交通量、最寄りからの徒歩分数、周辺の事業所数。実際に測って数字にする。数字にすると、候補の二つがどちらも条件を満たしていないことが分かる場合があります。この会社は測ってみて、候補の一つが徒歩分数で大きく外れていました。ポイント:よかったではなく、測った数字で条件を書く
③本社からの距離が効いているなら、応援の回数を数える
応援に入れることが理由なら、実際に何回入ったかを数えます。この会社は三年で四十回を超えていました。月に一回以上です。遠い場所に出すと、この四十回が成立しません。応援の回数は、距離の制約としてそのまま使えます。候補地までの移動時間で割ると、何回入れるかが出ます。ポイント:応援の回数を数えると、出せる距離が決まる
④時期が効いているなら、いまも同じ条件かを確かめる
競合がいなかったから成立した場合、いまは条件が違います。候補地の周辺に、同業が何社あるかを数える。一つ目のときと数が違えば、同じ結果にはなりません。点が低い要因でも、確かめるのは数分で済みます。この会社は時期の点が最も低かったので、確認だけして判断には使いませんでした。ポイント:点が低い要因も、確認だけはしておく

5.出す決断を、半年遅らせた

判定の結果、この会社は二拠点目を半年遅らせました。理由は人でした。

店長と同じことができる人が、社内にいませんでした。候補は一人いましたが、任せた経験がない。

やったのは、その候補者に一つ目の拠点を三か月任せることでした。店長は本社に戻します。

三か月で数字が落ちなければ、二つ目を出す。落ちたなら、人が理由だったことの確認になります。どちらでも判断材料が増える形です。

この三か月で、物件の候補も一つに絞れました。応援の回数から計算して、移動時間で外れる候補が消えました。

6.【after】一年後に出した二拠点目

三か月の試しで、数字は少し落ちました。ただ落ち方が小さく、原因も特定できました。常連への声がけの頻度でした。

これは引き継げる形にできるものだったので、手順として書きました。人が理由だったが、その人の中身の一部は移せた。

二拠点目は、一年後に出しました。店長は元の候補者で、一つ目の店長が週に一度入る形です。

社長が後から言ったのは、こうでした。点を付けなければ、立地で探して半年で出していた。

そして出していれば、たぶんうまくいかなかった。理由が人だと分かっていなければ、人を用意しないまま出していたからです。

7.実業の当事者として言えること

私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を自分たちで回している当事者です。拠点を増やした会社も、増やして苦労した会社も社内にあります。

共通して見てきたのは、二つ目でつまずく原因が、一つ目の理由の誤認だったことです。立地だと思って出したら、効いていたのは人だった。

点を付ける方法が効いたのは、社長の見立てと現場の見立てがずれていることが、数字で見えるからでした。議論だと社長の意見が通ります。配点だと通りません。

やってしまった失敗は、人が理由だと分かった後も、物件の話を並行して進めたことでした。良い物件が出ると、人の準備が終わっていなくても契約したくなります。

いま効いているのは、順番を固定したことです。人の目処が立つまで、物件を見に行かない。見に行くと判断が歪みます。

いま二拠点目を考えているなら、最初に一つだけやってください。社員五人に、一つ目がうまくいった理由へ十点を配ってもらう。社長の配点と比べると、何から用意すべきかが見えます。

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8.SEED は、要因の切り分けから一緒に立つ

SEED(BEYOND PLAYBOOK)は、出店の型を外から持ち込むのではありません。BEYOND Holdings 自身が拠点を増やしてきた当事者として、成功要因の洗い出しと配点 → 要因ごとの移植可否の判定 → 人の準備期間の設計 → 物件条件の数値化までを、貴社の商売の形に合わせて一緒に整理します。

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※本記事の事例は、中小企業で起こりうる場面を想定して構成したものです。特定の企業の実例ではなく、記載の金額・人数・年数・件数はすべて説明のための仮の数値です。拠点の開設にあたっては、業種によって許認可や届出、設備や立地に関する基準が定められている場合があります。賃貸借契約の条件、従業員の配置転換や勤務地の変更についても契約上および法令上の定めがあります。進める前に所管の行政窓口、顧問弁護士および社会保険労務士にご確認ください。

記事はここまで

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