一年目に必要なのは、決めて動かす仕事です。まだ何も決まっていないので、毎日が判断です。客を探す、値段を決める、断られて直す。
二年目に必要なのは、同じことを繰り返す仕事です。回り始めたものを、毎月同じ品質で出す。納期を守る、原価を管理する、問い合わせに同じ水準で答える。
この二つは、得意な人が違います。決めるのが得意な人は、繰り返しを退屈だと感じます。逆に、繰り返しが得意な人は、決まっていない状態を苦しいと感じます。
だから二年目の失速は、やる気の問題として見えますが、配置の問題です。
よく起きるのが三つあります。
一つ目は、仕様が増え続けること。決めるのが得意な人は、聞かれるたびに新しい形を作ります。一年目はそれが強みでしたが、二年目には管理できない数の型が増えます。
二つ目は、本人が飽きること。やることが決まった業務は、立ち上げ役にとって面白くありません。注意が別の案件に向き始めます。
三つ目は、引き継げなくなること。全部を本人が決めてきたので、判断の理由が本人の頭にしかない。二年目の終わりには、誰も代われない状態になっています。
入れ替えが常に正解ではありません。交代しないほうがいい場合は二つです。
一つ目は、まだ決めることが多い段階。繰り返しに見えても、月ごとに条件が変わっているなら一年目が続いています。
二つ目は、立ち上げ役が繰り返しも得意な場合。まれですが、います。この場合は無理に動かさず、次の立ち上げを兼務で渡す形にします。
どちらにしても、判断する日を先に置いておく。一年後の同じ月に、比率を見て決めると書いておきます。
私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を自分たちで回している当事者です。立ち上げも、引き継ぎも何度も経験しました。
いちばん大きな失敗は、立ち上げた本人が『自分が続ける』と言ったのを、そのまま通したことでした。本人の意欲は本物でした。それでも二年目の後半から数字が伸びなくなり、理由を探して一年使いました。
後から見れば、本人は決めることが無くなった時点で力を発揮できなくなっていた。やる気はあるのに成果が出ないので、本人がいちばん苦しんでいました。
いまは、立ち上げの段階で『軌道に乗ったら渡してもらう』と先に言っておくようにしています。先に言えば降格ではなく設計になる。言わずに後から外すと、本人の評価の話になってしまいます。
もう一つ。回す役に渡すときに効いたのは、変えてはいけないものを三つだけ書くことでした。手順書を厚く作った引き継ぎより、三行のほうが機能しました。渡す側が本当に守りたいものは、だいたい三つに収まります。
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※本記事の整理は一般的な考え方であり、成果を保証するものではありません。担当の変更にともなう職務や処遇の変更については就業規則および関係法令にもとづく取扱いがあり、個別の対応は社会保険労務士にご確認ください。本文中の期間はすべて説明のための目安です。
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