この基準は建設工事に限られます。他の業種の納期には適用されません。
ただ方向として押さえておく価値があります。これまで民間同士の取り決めとされてきた工期に、制度が入ってきている。
2024年3月の改定で入ったのは、変更契約のときも適正な工期を設定するという点です。最初の契約だけでなく、途中の変更も対象にしたことになります。
そして受注者の側に、時間外労働の規制を守れる工期で見積を出す努力義務が置かれました。短い工期を自分から呑む行為も、制度の視界に入った。
2026年2月の動きは、民間工事の発注者への実態調査です。公共工事から民間工事へ、対象が広がる流れが見えます。
納期を詰められたとき、現場の反応は二つに割れます。受けるしかないか、断るしかないか。
どちらも結論から入っています。確かめる前に結論を出すと、受けた場合は赤字になり、断った場合は次が来なくなります。
確かめるのは三つです。なぜ詰まっているのか、どの工程なら動くのか、詰めた分の費用を誰が持つのか。
三つのうち、一つめを飛ばすのが最も多い。理由を聞かずに日数の交渉に入ります。
理由が分かると、交渉する相手が変わることがあります。詰めているのが目の前の担当者ではない場合があるからです。
二つめの確認です。工程全体を縮めようとすると無理が出ますが、動く工程は限られています。
探すのは三か所です。待ちの時間、並行できる作業、自社でやらなくてよい工程。
待ちの時間。材料の入荷待ち、承認待ち、検査待ち。作業時間ではなく待ちを見ると、たいてい数日出てきます。
並行できる作業。順番にやっているが、同時でも成り立つもの。ここは人を増やせば動きます。
自社でやらなくてよい工程。外に出せる部分。費用は増えますが日数は縮みます。
この三つで足りなければ、縮まないという答えを出す。無理に受けて守れないほうが損害が大きい。
なお、時間外労働で埋めるのは選択肢として置きません。規制の遵守が前提で、建設工事では工期の基準にもその考え方が入っています。
三つめの確認です。縮める方法が見つかっても、誰が費用を持つかは別の話です。
外注を増やす、人を追加する、夜間や休日に動かす。どれも費用が出ます。
ここを曖昧にして受けると、日数は守ったのに利益が消えます。そして次も同じ条件で頼まれます。
書き方は簡単です。通常の日数と、短縮した場合の日数と、その差で発生する費用を三行で並べる。
金額を言いにくい場合でも、費用が発生するという事実だけは書きます。書いてあれば、相手は社内で判断できます。
そして建設工事であれば、著しく短い工期による請負契約の締結については建設業法上の定めがあります。該当するかの判断は専門家に確認する領域です。知っているだけでも、交渉の前提が変わります。
私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を自分たちで回している当事者です。受ける側も、出す側も社内にあります。
出す側に立って分かったのは、詰めている日付の半分近くは、こちらの社内の都合だということでした。本当の期限はもう少し先にあることがあります。
だから聞かれると答えます。その日付の根拠を聞いてくる相手には、こちらも正直に言う。聞かれなければ、詰めたままで進みます。
受ける側としてやった失敗は、理由を聞かずに受けたことでした。夜間の人員を手配して間に合わせましたが、費用はこちら持ちでした。
後で聞くと、相手の期限は二週間先でした。聞けば済んだ話に、数十万円かけていた。
いま効いているのは、一問だけです。その日付は、何から逆算されていますか。この質問に答えられない案件は、半分くらいあります。
いま納期を詰められている案件があるなら、最初に一つだけやってください。日付の根拠を聞く。聞いてから、受けるか断るかを決めます。
SURGE(BEYOND PLAYBOOK)は、交渉の台本を外から渡すのではありません。BEYOND Holdings 自身が受ける側と出す側の両方を回す当事者として、日付の根拠を聞く型 → 動く工程の洗い出し → 分割納品の設計 → 短縮費用の三行までを、貴社の商売の形に合わせて一緒に整理します。
まずは無料の売上診断で、いま売上のどこに漏れがあるかを確かめてみてください。結果を見ながら、どの案件から線を引くかを一緒に決めましょう。
※制度の記述は、建設工事の工期について建設業法第34条にもとづき中央建設業審議会が作成した『工期に関する基準』(令和2年7月20日決定、令和6年3月27日最終改定)に、変更契約時も含めた適正な工期設定の必要性、受注者が時間外労働に関する規制を遵守した工期で見積を提出することの努力義務、発注者への工期設定への協力の要請、猛暑日等の自然要因による不稼働の考慮が盛り込まれたこと、および2026年2月に国土交通省が民間工事の発注者を対象として工事期間等の実態調査を実施するとしたことを参照しています。本稿執筆時点で公表資料の原文は参照できていないため、原文での確認を推奨します。同基準は建設工事に関するものであり、他の業種の納期には適用されません。著しく短い工期による請負契約の締結については建設業法上の定めがあり、個別の契約が該当するかの判断は顧問弁護士および所管の行政窓口にご確認ください。本記事に記載の日数・金額・件数はすべて説明のための仮の例です。