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Sales Column · 2026.10.19

減額は、違反の2番目に多い
── 受注後に減らされたとき

公正取引委員会が2026年6月10日に公表した令和7年度の運用状況で、実体規定の違反は7,228件。
内訳は支払遅延が3,787件(52.4%)、代金の減額が1,323件(18.3%)、買いたたきが1,006件(13.9%)。
受注後に減らされるのは、一社の運の悪さではなく、件数の2番目に多い類型です。

1.件数が多いということは、相手も慣れているということ

受注後に減らされた経験は、たいてい社内で共有されません。こちらの詰めが甘かった話として処理されます。

ところが件数を見ると、支払遅延に次ぐ二番目です。個別の不運ではなく、起きやすい構造があるということです。

構造の正体は単純です。受注が決まった瞬間に、立場が逆転する。取る前は売り手に選択肢がありますが、着手した後は材料も人も動いています。

相手の担当者に悪意がないことも多い。社内の予算が削られた、計画が変わった。そのしわ寄せが一番弱いところに来ているだけです。

2.減らされ方は、三つある

同じ減額に見えて、中身が違います。分けると打ち手が変わります。

①数量が減る。100個の受注が70個になる。金額は下がりますが、単価は変わっていません。段取り費用が30個分だけ回収できなくなります。

②仕様が増えて、単価が据え置き。これがいちばん見えにくい。金額は動いていないので、社内の記録にも残りません。実質の値下げですが、誰も値下げだと認識していない。

減額の多くは、金額が動く形では来ない。仕様だけが増えて、金額の欄は一度も書き換わらない。

③単価そのものを下げられる。これは明確なので、まだ話がしやすい。前の二つより対処が進みます。

社内で記録を取るなら、②を数える欄をつくること。一番多くて、一番気づかれていません。

3.着手前の変更を、どう受けるか

①変更の受付を、口頭で止める
電話とその場の会話で決まった変更は、後で金額の話ができません。変更は書いたものだけで受ける、と最初に伝える。メールの一行でかまいません。相手を疑っているのではなく、双方の記録を残すためだと説明すると通ります。ポイント:口頭の変更は受けない。書いた一行で足りる
②費用が動く線を、見積に書いておく
見積の下に三行足します。数量が何割を超えて減った場合、仕様が追加された場合、着手日が何日を超えてずれた場合。この三つで金額を見直す、と書く。金額を書く必要はありません。見直すと書いてあるだけで、相談が来るようになります。ポイント:金額ではなく、見直す条件を書く
③着手の合図を、はっきり決める
いつから着手したかが曖昧だと、変更が着手前か後かも曖昧になります。発注書の受領、材料の発注、人の確保。どれを着手とするかを一行で決める。この一行があると、減額の交渉が感情の話になりません。日付の話になります。ポイント:着手の定義が、交渉の土台になる
④受けるときは、次の条件を一つもらう
全部断るのは現実的ではありません。受ける代わりに一つもらいます。納期を延ばす、支払を早める、次回分の数量を確約する。相手も社内で説明しやすい形がいい。無条件で受けると、次も無条件が前提になります。ポイント:受けるなら、必ず一つ交換する

4.制度は、振りかざさずに使う

2026年1月1日から、下請代金支払遅延等防止法は中小受託取引適正化法として施行されています。協議に応じない一方的な減額は、従来から違反になり得る行為です。

ただし適用されるかどうかは、資本金の区分と取引の種類で決まります。すべての取引が対象ではありません。自社の取引が対象かを、先に確かめておく必要があります。

そのうえで、使い方は一つだけです。相手の社内に、確認する人をつくる。

減額を持ってくるのは現場の担当者です。その担当者が社内の法務や上司に一度確認するだけで、話が止まることがあります。こちらが争う必要はなく、相手の社内で一度止まれば十分です。

だから言い方は穏やかでいい。協議の記録を残したい、と伝える。それだけで担当者は社内に持ち帰ります。

5.断れない相手のときに、やること

売上の大半を占める相手に、線を引くのは怖い。これは現実です。

その場合でも、できることが二つあります。一つは、記録を残すこと。受けた変更と、動いた金額を一件ずつ書く。半年分たまると、その取引の本当の利益が見えます。

もう一つは、次の受注で条件を変えること。今回の分は飲む。ただし次回の見積から、三行を入れる。過去を争わず、未来だけ変えるほうが実際に進みます。

記録が半年分あると、相手に話すときの材料にもなります。感情ではなく、件数と金額で話せる。

6.実業の当事者として言えること

私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を自分たちで回している当事者です。受ける側も、出す側も、どちらも社内にあります。

出す側に立ってわかったのは、減額の多くは、こちらの社内の都合で起きているということです。予算が削られた、計画が変わった。相手を叩こうとして始まるわけではありません。

だから相手が条件を書いて出してくると、こちら側は普通に社内で調整します。書いていない相手に、しわ寄せが集中する。これは見ていて明確でした。

受ける側として効いたのは、仕様が増えた回数を数え始めたことです。金額が動かないので、それまで誰も気づいていませんでした。数え始めて三か月で、特定の一社に集中していることがわかりました。

いま受注後の変更が多いと感じているなら、最初に一つだけやってください。直近十件で、着手後に条件が動いたものを数える。多いか少ないかは、数えた後でわかります。

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7.SURGE は、条件の線引きから一緒に立つ

SURGE(BEYOND PLAYBOOK)は、交渉術を外から持ち込むのではありません。BEYOND Holdings 自身が受ける側と出す側の両方を回す当事者として、変更の受け方の統一 → 見積に入れる三行 → 着手の定義 → 動いた条件の記録までを、貴社の取引の形に合わせて一緒に整理します。

まずは無料の売上診断で、いま売上のどこに漏れがあるかを確かめてみてください。結果を見ながら、どの取引から線を引くかを一緒に決めましょう。

※統計の記述は、公正取引委員会『令和7年度における取適法の運用状況及び中小事業者等の取引適正化に向けた取組』(2026年6月10日公表)にもとづく件数および比率を参照しています。本稿執筆時点で当該公表資料の原文は参照できていないため、件数は法律事務所が公表している複数の解説が一致して示す数値を用いています。原文での確認を推奨します。なお下請代金支払遅延等防止法は2026年1月1日に中小受託取引適正化法(取適法)として施行されており、同法の適用は委託事業者と中小受託事業者の資本金区分および取引の種類によって定まります。すべての取引が対象になるわけではありません。個別の取引条件、契約条項、法の適用の有無については顧問弁護士および公正取引委員会・中小企業庁の相談窓口に必ずご確認ください。本文中の金額および件数はすべて説明のための仮の例です。

記事はここまで

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